2026年3月31日、通信大手のKDDI株式会社(証券コード:9433)が、2026年3月期の第3四半期決算(2025年4月〜12月の9か月累計)を発表しました。売上高・純利益ともに前年を上回る増収増益となり、引き続き安定した業績を維持しています。また、2025年4月に実施した株式分割(1株→2株)の影響を受けながらも、年間配当は実質的な増配となっており、長期投資家にとっても注目の銘柄です。
この会社、何をしてるの?
KDDIは「au」ブランドで知られる、日本を代表する総合通信会社です。スマートフォンや携帯電話の通信サービスを提供している会社、と聞けばピンと来る方も多いでしょう。
ただし、KDDIの事業は通信だけにとどまりません。大きく2つのビジネスに分かれています。
ひとつはパーソナルセグメント(個人向け事業)です。スマホの通信プランをはじめ、「auじぶん銀行」や「au PAY」などのお金に関するサービス(金融サービス)、電気の販売(エネルギーサービス)まで、個人の暮らしを幅広くサポートしています。スマホ代と電気代と銀行口座をまとめて「au経済圏」に取り込む戦略が特徴です。
もうひとつはビジネスセグメント(法人向け事業)です。企業や自治体向けに、クラウドコンピューティング(インターネット上でデータを処理・保存する技術)やデータセンター(企業のコンピュータを安全に管理する施設)、さらにはデジタル変革(DX)の支援を提供しています。
第3四半期累計(2025年4月〜12月)の業績サマリー
| 指標 | 今期Q3累計 | 前年Q3累計 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(営業収益) | 4兆4,718億円 | 4兆3,085億円 | +3.8% |
| 営業利益(本業の儲け) | 8,567億円 | 8,477億円 | +1.1% |
| 税引前利益 | 8,627億円 | 8,430億円 | +2.3% |
| 純利益(親会社帰属) | 5,455億円 | 5,190億円 | +5.1% |
| 1株あたり利益(EPS) | 141.10円 | 127.46円 | +10.7% |
注目ポイント①|3項目すべてで増収増益、純利益は+5.1%の安定成長
今回の決算で特徴的なのは、売上高・営業利益・純利益の3項目すべてが前年を上回ったことです。
売上高の+3.8%増は、個人向けのスマホ通信サービスが底堅く推移したことに加え、法人向けのデータセンターやクラウドサービスの需要が旺盛なことが主な要因です。
純利益は+5.1%と、売上の伸び率を上回る増益となりました。これは、コスト管理の徹底や関連会社からの利益取り込みが貢献したためと考えられます。EPS(1株あたり利益)も141.10円と前年の127.46円から大きく改善しており、株主に対する収益性が高まっています。
注目ポイント②|株式分割後も実質増配、年間120円で配当利回りに注目
2025年4月1日、KDDIは1株を2株に分ける株式分割を実施しました。株式分割とは、1枚の株を2枚に分けることで、株を買いやすい価格にする仕組みです。
これに伴い、配当金の金額も変わりました。
| 2025年3月期(実績、分割前) | 2026年3月期(予想、分割後) | 分割後換算比較 | |
|---|---|---|---|
| 年間配当 | 145円 | 120円(予想) | 72.5円 → 120円(実質+65.5%増配) |
分割前の145円を分割後に換算すると1株あたり72.5円に相当します。今期の年間予想配当120円(中間40円+期末80円)はそれを大きく上回る実質増配です。
注目ポイント③|通期予想は業績修正あり、進捗率78%台で順調
通期(2026年3月期通算)の予想と、Q3時点での進捗率は以下の通りです。
| 指標 | 通期予想 | Q3進捗率 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6兆600億円(+3.8%) | 73.8% |
| 営業利益 | 1兆900億円(+0.2%) | 78.6% |
| 純利益 | 6,980億円(+6.5%) | 78.2% |
通期予想は据え置きではあるものの、「業績予想の修正有り」と記載があります。Q3(9か月)時点の進捗率78%台は、残り1四半期でほぼ目標通りに着地できるペースであり、通期予想のクリアはほぼ確実と見られます。
財務の健全性
総資産は約18.4兆円(前期末16.7兆円から増加)と大規模な資産規模を持っています。一方、親会社帰属持分比率(自己資本比率に相当)は26.8%(前期末30.1%)とやや低下。これはKDDIが積極的な投資や株主還元(自己株式取得など)を行っているためで、大手通信会社としては一般的な水準です。
今後の見通し|「au経済圏」の拡大と法人DX需要がカギ
KDDIは個人向けでは「au経済圏」の深掘り(通信・金融・エネルギーを合わせて使う顧客を増やす)を引き続き推進します。法人向けでは、データセンター投資やAI(人工知能)活用の支援といった需要が高まっており、ビジネスセグメントの成長が今後も期待されます。
通期予想の達成に向けては第4四半期(2026年1〜3月)が残るのみ。3Q時点での進捗状況は順調で、年間配当120円(予想)の支払いも予定通りとなる見込みです。
まとめ
KDDI(9433)の2026年3月期Q3決算は、売上高・営業利益・純利益すべてが増収増益となる安定した内容でした。株式分割後も実質的な増配を実現し、株主還元に積極的な姿勢を継続。「au経済圏」の拡大と法人向けデジタル需要を両輪に、今後も安定した業績が期待されます。
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