2026年2月5日、日本最大の通信グループであるNTT株式会社(証券コード:9432)が2025年度 第3四半期(Q3)の決算を発表しました。Q3累計(2025年4月〜12月)の営業収益(売上にあたる数字)は10兆4,210億円と過去最高を更新し、当社に帰属する純利益は前年同期比+8.9%の大幅増益を達成。年間配当も5.30円(前期比+0.10円)への増配が予想されています。
この会社、何をしてるの?
NTT(日本電信電話株式会社)は、日本最大の総合通信グループです。「ドコモ(携帯電話)」「NTT東日本・NTT西日本(固定電話・光回線)」「NTTデータ(ITサービス・システム)」など、通信・IT分野で幅広い事業を持つグループの親会社です。グループ全体での従業員は約30万人にのぼり、国内通信インフラの大部分を担っています。海外でもNTTデータを通じてグローバルなITサービスを展開しており、世界50か国以上でビジネスを行っています。
2025年度Q3累計(2025年4月〜12月)の業績サマリー
| 指標 | 2025年度Q3累計 | 2024年度Q3累計 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上) | 10兆4,210億円 | 10兆497億円 | +3.7% |
| 営業利益(本業の儲け) | 1兆4,571億円 | 1兆3,992億円 | +4.1% |
| 税引前利益 | 1兆3,737億円 | 1兆3,417億円 | +2.4% |
| 純利益(当社帰属) | 9,261億円 | 8,507億円 | +8.9% |
| 1株当たり利益(EPS) | 11.23円 | 10.15円 | — |
注目ポイント①|営業収益が過去最高10.4兆円を突破
Q3累計の営業収益(グループ全体の売上)は10兆4,210億円と、過去最高を更新しました。前年同期比で3.7%増加しています。NTTグループは通信・IT・クラウドサービスなど複数の事業分野を持つため、安定した収益基盤があります。今期は特に、海外IT事業(NTTデータ)と国内の法人向けデジタルサービスが伸びています。
セグメント(事業別)の営業利益の内訳は以下のとおりです。
| セグメント | 主な事業 | 営業利益(Q3累計) |
|---|---|---|
| 総合ICT事業 | NTTドコモ・法人向けICT | 8,340億円 |
| グローバル・ソリューション事業 | NTTデータ(海外IT) | 2,360億円 |
| 地域通信事業 | NTT東日本・西日本(光回線など) | 2,956億円 |
| その他 | NTTファイナンス等 | 547億円 |
特にグローバル・ソリューション事業が前年同期比+62.8%と大きく伸びており、海外でのITサービス需要拡大が全体の利益を押し上げています。
注目ポイント②|純利益進捗率は95.9%と超高水準
通期(2025年4月〜2026年3月)の業績予想と、Q3累計の進捗は以下のとおりです。
| 指標 | 通期予想 | Q3累計 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 14兆1,640億円 | 10兆4,210億円 | 73.6% |
| 営業利益 | 1兆6,600億円 | 1兆4,571億円 | 87.8% |
| 純利益(当社帰属) | 9,650億円 | 9,261億円 | 95.9% |
純利益の通期進捗率は95.9%と、Q3(9ヶ月)の時点でほぼ通期予想に到達しています。なお、通期の純利益予想は前期比-3.5%と若干の下方修正が発表されています。これはQ4(1月〜3月)に一定の費用や投資を見込んでいるためと考えられます。
注目ポイント③|配当5.30円へ増配・住信SBIネット銀行の連結化
配当(株主へ利益を分配するお金)は、2025年度の年間予想が5.30円(前期比+0.10円増配)です。中間配当2.65円はすでに支払い済みで、期末配当2.65円を加えた合計5.30円への増配が予想されています。
| 期 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計 |
|---|---|---|---|
| 2024年度(実績) | 2.60円 | 2.60円 | 5.20円 |
| 2025年度(予想) | 2.65円(実績) | 2.65円(予想) | 5.30円 |
2026年3月期の年間配当予想は45円(前期比+5円)です。中間配当22円はすでに支払い済みで、期末配当23円を加えた合計45円への増配が予想されています。配当の増加は株主に対する利益還元の拡大を示しており、業績の好調さを裏付けています。
財務の健全性
Q3末(2025年12月31日時点)の財務状況です。
- 総資産: 約46兆8,348億円(住信SBIネット銀行の連結化で大幅増)
- 株主資本: 約9兆5,101億円
- 株主資本比率: 20.3%(前期末34.0%→低下、銀行資産加算の影響)
- 1株当たり純資産: 116.37円(前期末123.54円)
株主資本比率(自己資本の割合)が前期末の34%から20%に下がっていますが、これは住信SBIネット銀行が保有する多額の銀行資産(預金で運用する資金など)が加わったためであり、財務の悪化ではありません。
今後の見通し|AI・デジタル・グローバル成長が継続
NTTは「NTT 2030 ビジョン」のもと、以下の分野での成長を目指しています。
① AI・クラウドサービスの拡充:企業向けのクラウドサービス(インターネット上のシステム)やAIを活用したソリューションが引き続き成長ドライバーです。
② 海外IT事業の拡大:NTTデータを中心に、北米・欧州・アジアでのITサービス需要拡大を取り込んでいます。今期Q3では+62.8%と大きく伸びています。
③ IOWN(次世代光通信基盤)への投資:電力消費を大幅に削減した次世代通信技術(光電融合技術)の開発・展開を進めており、中長期の成長基盤を構築しています。
まとめ
NTT(9432)の2025年度Q3は、営業収益が過去最高の10.4兆円、純利益は+8.9%と増益を達成しました。通期純利益の進捗率は95.9%と高水準で、年間配当も5.30円(+0.10円)への増配予想が維持されています。グローバルIT事業の急成長が全体を牽引しており、通信・デジタル分野での安定した収益基盤が確認できた決算です。
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