オカムラが2026年2月6日に発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の決算は、売上高2,334億円(前年同期比+5.7%)、営業利益113億円(同+6.3%)、純利益134億円(同+20.4%)と、力強い増収増益を達成しました。賃上げや原材料費上昇といったコスト圧力がある中、主力のオフィス環境事業が好調に推移。さらに英国の家具メーカー「Boss Design」の完全子会社化など、グローバル展開も加速しています。年間配当は104円(前期94円から増配)と株主還元も充実しており、オフィス家具業界トップ企業の実力を見せた決算です。
この会社、何をしているの?
オカムラ(株式会社オカムラ)は、オフィス家具・設備の総合メーカーです。本社は神奈川県横浜市。オフィスのデスク・チェア・収納・パーティション(仕切り壁)など、働く空間に必要なものをほぼすべて手がけています。
事業は大きく3つに分かれています。メインの「オフィス環境事業」では、企業のオフィスリニューアルや新設に伴うデスクや椅子などを提供。「商環境事業」では、スーパーマーケットやコンビニの店舗什器や冷凍冷蔵ショーケース。「物流システム事業」では、倉庫の自動化システムを扱っています。
テレワークの普及後も「オフィス回帰・リニューアル需要」が根強く続いており、特に大企業の本社移転やオフィス改装がビジネスを後押ししています。「働く空間づくり」という切り口で、時代とともに需要が変化し続ける安定した業界に身を置いています。
2026年3月期 第3四半期の業績まとめ
2025年4月〜12月の9ヶ月間(Q3累計)の業績は以下のとおりです。
- 売上高:2,334億6,200万円 前年同期比 +5.7%
- 営業利益(本業で稼いだ利益):113億9,200万円 前年同期比 +6.3%
- 経常利益:126億9,200万円 前年同期比 △1.8%
- 四半期純利益:134億5,100万円 前年同期比 +20.4%
- 1株当たり純利益:142円11銭
なお、経常利益が前年比マイナスになっているのは、持分法による投資利益の減少や支払利息の増加(Boss Design買収に伴う借入)が影響しているためで、本業の営業利益はしっかり増益しています。
注目ポイント①:主力オフィス環境事業が好調、3事業の明暗
オカムラの事業は3つのセグメントに分かれており、それぞれ異なる状況にあります。
オフィス環境事業(主力):在宅勤務後のオフィス回帰トレンドを背景に、企業のオフィスリニューアル需要が旺盛。国内の大手企業を中心とした大型案件が好調で、売上・利益ともに増加しています。英国のBoss Design買収により、海外市場への本格展開も始まりました。
商環境事業:スーパー・小売向けの店舗什器や冷凍冷蔵ショーケース等の事業。人手不足を背景とした省人化ニーズは旺盛ですが、人員強化・オフィス移転による固定費・販管費の増加が利益を圧迫。売上884億円(前年比△0.8%)、セグメント利益23億円(同△39.4%)と苦戦しました。
物流システム事業:倉庫自動化システムの事業。前期に過去最高売上を記録した反動で設計エンジニアのリソースが既存案件対応に集中し、新規受注活動が制約されました。売上116億円(同△34.9%)、セグメント損失8.6億円と大幅な落ち込みです。ただし新製品「Optify(倉庫最適化システム)」を投入するなど次期への仕込みも進んでいます。
注目ポイント②:純利益+20%超の背景と英国M&A
純利益が+20.4%と大きく伸びた理由は2つあります。
1つ目は投資有価証券売却益の増加です。今期は57億円(前年同期40.5億円)の有価証券売却益が特別利益に計上されました。政策保有株(持ち合い株)の売却を進める流れの中で生まれた利益です。これは一時的な要因であり、来期以降の繰り返しは保証されない点には注意が必要です。
2つ目は法人税等の減少です。繰延税金資産の取り崩しなどにより、前年同期の58.6億円から38.2億円へ大幅に減少しました。
また今期の大きなトピックは英国のBoss Design Limited(BDL社)を完全子会社化したことです(2025年4月1日付)。BDL社はルースファニチャー(単品で販売する高付加価値家具)やアコースティック(吸音・防音)製品の製造販売会社で、欧州市場への橋頭堡となります。買収に伴いのれん47.9億円を計上しており、今後の海外売上拡大に期待が集まります。
注目ポイント③:通期予想への進捗と増配
通期予想(2025年11月7日公表・変更なし)は売上高3,300億円・営業利益240億円です。Q3時点での進捗率は売上高70.7%に対し、営業利益が47.5%とやや低めに見えます。これはオフィス家具業界では年度末(1〜3月)に大型案件の竣工・引き渡しが集中する傾向があるためで、Q4に利益が積み上がることが期待されます。
配当については、年間104円の予想(前期94円から+10円の増配)が維持されています。内訳は通常配当97円+創立記念配当7円で、中間52円(確定)+期末52円(予想)です。
今後の見通し
オカムラの成長を支える構造的な追い風は複数あります。オフィス回帰の流れとリニューアル需要の堅調さ、物流自動化ニーズの長期的拡大、そして英国BDL社を足がかりとした欧州・グローバル展開です。
一方で課題もあります。5.48%の賃上げ実施(大卒初任給30万円)は人材確保という点でポジティブですが、コスト増となります。商環境事業・物流システム事業の収益性改善も急務です。とくに物流システム事業は、前期の”受注集中”の反動を乗り越えて受注の正常化を図ることができるかが今後の焦点となります。
- 通期売上予想:3,300億円(前期比+4.9%)
- 通期営業利益予想:240億円(前期比+0.3%)
- 通期純利益予想:220億円
- 年間配当予想:104円(前期94円から+10円増配)
- 自己資本比率:66.7%(前期64.0%→改善)
まとめ
オカムラの2026年3月期Q3決算は、主力のオフィス環境事業が牽引し、売上・営業利益ともに増加した好調な内容です。純利益は投資有価証券売却益も寄与して+20%超と大きく伸びました。英国BDL社の買収による海外展開、物流システム向け新製品Optifyの投入など、中長期的な成長への布石も着実に打たれています。増配104円と財務体力の向上も含め、オフィス家具業界のリーディングカンパニーとしての存在感を示した決算といえます。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
