2026年2月5日、総合化学メーカーの東ソー株式会社(証券コード:4042)が2026年3月期の第3四半期決算(2025年4月〜12月の累計)を発表しました。売上高・営業利益ともに前年を下回る減収減益で、特に純利益は前年同期比で約半減(▲49.2%)という大きな落ち込みとなりました。同時に通期の業績予想も下方修正されています。
この会社、何をしてるの?
東ソーは、プラスチックの原料や化学品を幅広く製造・販売する総合化学メーカーです。日用品から医療まで、生活のあちこちで使われる素材を作っています。代表的な事業は4つ。「クロル・アルカリ事業」では塩素や苛性ソーダ(洗剤・紙の製造に必要)を、「石油化学事業」ではウレタン原料(クッションや断熱材に使われる)を、「機能商品事業」では高機能なセラミックスや特殊化学品を、「バイオサイエンス事業」では診断薬や医薬品を手がけています。山口県南陽市に大規模な工場(南陽事業所)を持ち、日本有数の化学コンビナートを形成しています。
第3四半期累計(2025年4月〜12月)の業績サマリー
| 指標 | 今期Q3累計 | 前年Q3累計 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,561億円 | 7,957億円 | ▲5.0% |
| 営業利益 | 699億円 | 746億円 | ▲6.3% |
| 経常利益 | 770億円 | 825億円 | ▲6.7% |
| 四半期純利益 | 246億円 | 485億円 | ▲49.2% |
| 1株当たり純利益(EPS) | 77.94円 | 152.37円 | ▲48.9% |
財政状態(2025年12月末)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総資産 | 1兆3,443億円 |
| 純資産 | 8,836億円 |
| 自己資本比率 | 59.8% |
注目ポイント①|純利益が「半減」した本当の理由
売上高や営業利益の減少は5〜7%程度とそれほど大きくありませんでしたが、純利益だけが前年の半分以下に落ち込みました。その主な理由は、減損損失(げんそんそんしつ)と関係会社株式評価損の計上です。
減損損失とは、「工場や設備の価値が大きく下がったと判断されたときに、その損失を帳簿に計上する」というルールです。東ソーは2025年10月に、海外子会社の固定資産に多額の減損損失が発生したことを別途発表しており、この特別損失が純利益を大幅に押し下げました。
注目ポイント②|業績予想を下方修正、通期純利益は前期比半減へ
今回の決算発表と同時に、2026年3月期の通期業績予想が下方修正されました。
| 指標 | 通期予想(修正後) | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆100億円 | ▲5.0% |
| 営業利益 | 900億円 | ▲9.0% |
| 経常利益 | 940億円 | ▲8.7% |
| 当期純利益 | 300億円 | ▲48.3% |
| 1株当たり純利益(EPS) | 94.93円 | ▲47.9% |
Q3累計の純利益がすでに246億円に達しているため、4Qで殊り54億円(300−246)の純利益を積み上げる計画です。ナフサ(石油化学の原料)価格の変動や製品の海外市況下落が業績を圧迫しており、厳しい環境が続いています。
注目ポイント③|配当100円は維持も、配当性向は100%超
今期の年間配当予想は前期と同じ100円(中間50円+期末50円)を維持しています。一方で、EPS予想が94.93円のため、配当(100円)が純利益の1株当たり分を上回る状態(配当性向約105%)となっています。これは利益剰余金(過去の蓄積利益)から補填する形ですが、収益回復なき継続は難しいため、今後の利益改善が注目されます。
時価総額7,701億円、株価ベースの予想配当利回りは約4.2%と高水準です。
今後の見通し|化学市況の回復と減損一巡が焦点
2026年3月期の通期予想は売上高1兆100億円・営業利益900億円で変更ありません(業績予想の修正は下方修正済み)。焦点は、①ナフサ・エチレンなど化学品の市況回復、②追加減損が発生しないかどうか、の2点です。
中長期的には、2025年に発表された「2025〜2027年度 中期経営計画」で高機能材料や医療系事業への投資強化を掲げており、化学コモディティ(一般品)への依存体質からの脱却が課題となっています。
まとめ
東ソー(4042)の2026年3月期Q3決算は、本業(営業利益)は▲6.3%にとどまったものの、減損損失が直撃して純利益が半減するという内容でした。通期予想も下方修正済みで、厳しい状況が続きます。ただし、配当100円(利回り約4.2%)を維持しており、高配当株としての側面は依然として評価されています。今後は化学市況の回復と減損リスクの落ち着きがカギを握ります。
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