2026年2月6日、自動車業界の巨人・トヨタ自動車株式会社(証券コード:7203)が2026年3月期の第3四半期決算(2025年4月〜12月の9か月累計)を発表しました。売上高にあたる営業収益は過去最高ペースで伸びた一方、米国の関税政策の影響が重くのしかかり、純利益は前の年の同じ時期と比べて約26%の大幅な減少となりました。
この会社、何をしてるの?
トヨタ自動車は、「カローラ」や「プリウス」「ランドクルーザー」など、世界中で走るクルマを作っている日本最大・世界トップクラスの自動車メーカーです。普通のガソリン車(内燃機関車)だけでなく、ガソリンと電気を両方使う「ハイブリッド車(HEV)」(二つの動力を使って燃費を高める仕組み)でも世界を引っ張ってきた会社です。
クルマを売るだけでなく、ローンやリースを提供する「金融サービス事業」も手がけており、世界170か国以上でビジネスを展開しています。日本国内では愛知県豊田市に本拠を置き、トヨタ・レクサス・ダイハツ・日野など複数のブランドを傘下に持ちます。近年はEV(電気自動車)や水素燃料電池車(FCEV)への投資も本格化しており、「全方位戦略」で電動化の流れに対応しています。
第3四半期累計(2025年4月〜12月)の業績サマリー
| 指標 | 今期Q3累計 | 前年Q3累計 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上高) | 38兆876億円 | 35兆6,736億円 | +6.8% |
| 営業利益(本業の儲け) | 3兆1,967億円 | 3兆6,795億円 | ▲13.1% |
| 税引前利益 | 4兆1,885億円 | 5兆4,301億円 | ▲22.9% |
| 純利益(親会社帰属) | 3兆308億円 | 4兆1,004億円 | ▲26.1% |
| 1株当たり利益(EPS) | 232.55円 | 307.95円 | ▲24.5% |
注目ポイント①|利益が大幅に減った理由は「関税」
売上高は6.8%増えているのに、なぜ純利益が26%も下がったのでしょうか。最大の要因はアメリカの関税政策です。
トヨタは日本や他の国で作ったクルマをアメリカに輸出しています。アメリカ政府が輸入車への関税(輸入品にかかる税金のこと)を引き上げたことで、トヨタは第3四半期累計だけで1兆2,000億円もの営業利益の減益要因を抱えることになりました。これは「売上が増えた分をはるかに上回る費用の増加」にあたります。
関税の影響がなければ、本業の利益(営業利益)はほとんど横ばいか増益だった計算になります。つまり、本業の競争力自体は依然として高い水準を保っていると言えます。
注目ポイント②|通期予想は据え置き、進捗率は約85%
今回の決算発表と同時に、2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期業績予想が発表されています。
| 指標 | 通期予想 | Q3進捗率 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 50兆円(前期比+4.1%) | 76.2% |
| 営業利益 | 3兆8,000億円(前期比▲20.8%) | 84.1% |
| 純利益(親会社帰属) | 3兆5,700億円(前期比▲25.1%) | 84.9% |
| 1株当たり利益(通期EPS予想) | 273.91円 | — |
Q3時点で通期予想の84〜85%を達成しており、残り1四半期(1〜3月)でのクリアは十分に射程内です。ただし通期予想には関税影響として合計1兆4,500億円の減益をすでに見込んでいます。
注目ポイント③|配当は前期より5円増の95円を維持
業績が厳しい中でも、トヨタは株主への還元を大切にしています。
| 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(予想) | |
|---|---|---|
| 中間配当 | 40円 | 45円 |
| 期末配当(予想) | 50円 | 50円(予想) |
| 年間合計 | 90円 | 95円(予想) |
前期より5円増の年間95円を予定しており、配当利回りは約2.86%(2026年4月現在)です。配当性向(利益のうち何%を配当に使うか)は約34.7%と健全な水準を維持しています。
今後の見通し|関税の行方と電動化シフトがカギ
2026年3月期の通期業績予想は現時点で変更なしです。ただし、アメリカとの関税交渉の行方次第で、業績が上振れる可能性もあります。逆に、関税が長期化・拡大すれば、さらなる下方修正もあり得ます。
また、トヨタが進める「全方位電動化戦略」(EV・HEV・FCEV・PHEVをバランスよく展開する方針)の進捗も注目です。国内販売では電動化比率が高まっており、環境規制が厳しくなる中で競争力を保てるかが中長期のポイントとなります。
まとめ
トヨタ自動車(7203)の2026年3月期Q3決算は、売上は伸びたものの、米国の関税政策という外部要因が足を引っ張り、純利益は前年比26%超の大幅減となりました。ただし本業の競争力は健在で、配当も増配を維持しています。今後は関税問題の動向と電動化への対応が業績の鍵を握りそうです。
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