現在、75歳以上の医療費負担は原則1割です。但し、現役並みの収入がある人は3割負担となっています。この現役並みの収入というのは収入から全ての控除を差し引いた課税所得が145万円以上の人が対象となります。厚労省の資料によると単身世帯では383万円以上、また、複数世帯では520万円以上の年収の人になります。この現役並みの収入を得ている割合は約7%のみだそうです。つまり大半の93%の人は1割しか負担していません。これでは今後、後期高齢者医療制度を支え続けるのは難しい状況になってくると想定されます。
人口ピラミッドの頂点である団塊の世代が後期高齢者75歳に差し掛かるのが2022年、このままいくと現役世代への負担が増大するのが目に見えています。そこで少しでもその負担を軽減するために75歳以上の高齢者にもう少し負担をしてもらおうということで、1割負担と3割負担の間にもう一つ2割負担を導入することが2021年6月4日に参院で可決され、2022年度後半に導入されるそうです。但し、3年間の緩和措置があるので実質的には2025年から本格導入のようです。また、2割負担の対象年収は 単身世帯では200万円以上、また、複数世帯では320万円以上です。この2割負担となる世帯は全体の20%とのことです。
医療費負担割合と年収の関係をまとめると次のようになります。
単 身 世 帯 | 複 数 世 帯 | |
1 割 負 担 | 200万 未満 | 320万 未満 |
2 割 負 担 | 200万 以上、383万 未満 | 320万 以上、520万 未満 |
3 割 負 担 | 383万 以上 | 520万 以上 |
ここで後期高齢者医療制度なのになぜ現役負担がと思われるかと思いますが、後期高齢者医療制度とは言っていますが、その財源は高齢者の保険料による負担はたったの1割で、残り9割は公費(税金)5割と国保・被用者保険からの支援金が4割となっています。
この国保・被用者保険は現役世代が支払う保険料から成り立っていますから、後期高齢者医療制度は現役世代と公費(税金)で支えられています。
厚労省の試算では支援金は次のように示されています。現状のまま行くとこのように急激に支援金が膨らんでいくようです。
支 援 金 額 | |
21年度 | 6.8兆円 |
22年度 | 7.1兆円 |
25年度 | 8.1兆円 |
但し、2割負担を導入してもその効果は25年度で830億円とあまり軽減できていないように感じられます。支援金、公費どちらも現役世代の負担となり、今後も増え続けていくのではないでしょうか。年金と同様に保険制度も高齢化社会の問題点として議論されていくべきものなのかもしれません。
詳しくは厚労省のページにてご確認ください。