三菱商事(証券コード:8058)が2026年2月10日に発表した2025年度(2026年3月期)第3四半期決算についてまとめました。収益は前年同期比1.9%減の13兆6,810億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,079億円と前年同期比26.5%の減益となりました。ただし、これは前年度に一度きりの特別な利益(ローソン関連の再評価益や豪州石炭事業の売却益)があった反動によるものです。通期予想に対する進捗率は86.8%と高水準で推移しており、配当は前年の100円から110円へ増額、大規模な自社株買いも実施中です。
この会社、何をしてるの?
三菱商事は日本最大の総合商社です。「商社(しょうしゃ)」というのは、石油・天然ガス・金属・食品・化学品など、ありとあらゆるものを世界中で売り買いしたり、事業を作ったりする会社のことです。三菱商事はエネルギー(ガス・石油・再生可能エネルギー)、金属資源(石炭・銅など)、食品(コンビニのローソンにも出資)、機械・モビリティなど幅広い事業をグローバルに展開しており、90か国以上に200を超えるグループ会社を持ちます。
2025年度第3四半期(4月〜12月)の業績まとめ
| 項目 | 2024年度3Q | 2025年度3Q | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 収益(売上高) | 13兆9,433億円 | 13兆6,810億円 | △1.9% |
| 税引前利益 | 1兆2,053億円 | 8,200億円 | △32.0% |
| 親会社帰属四半期利益 | 8,274億円 | 6,079億円 | △26.5% |
| 1株あたり利益(EPS) | 205.66円 | 158.74円 | △22.8% |
親会社帰属利益が27%ほど減っていますが、前年度に一時的な大きな利益がありました。具体的には、①コンビニのローソンが持分法適用会社になった際の再評価益、②豪州の原料炭事業における固定資産の売却益という2つの特殊な利益が前年にあり、その反動が今年の減益につながっています。
一方で、持分法による投資損益(グループ会社から受け取る利益の取り分)は3,477億円(前年同期比+24.9%)と大きく増加しており、事業の実力は底堅く推移しています。
注目ポイント①:通期予想に対する進捗率86.8%と好調
| 項目 | 通期予想 | 3Q累計実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 親会社帰属当期利益 | 7,000億円 | 6,079億円 | 86.8% |
| 配当(年間) | 110円 | 中間55円支払済 | ─ |
通期予想(2026年3月期)の純利益は7,000億円で、前年度比26.4%の減少を予想しています。ただし3Q時点での進捗率は86.8%と、通常の進捗を上回っています。第3四半期(10〜12月)だけで見ると市場予想を上回る業績を上げており、株価は決算発表後に最高値を更新する場面もありました。通期予想の修正は今回発表されていません(予想を維持)。
注目ポイント②:資源価格下落・円高の逆風のなかで底堅い業績
三菱商事の業績に大きく影響するのが「資源価格」と「為替(円高・円安)」です。今年度は、資源価格の低迷や円高進行が逆風となっています。天然ガスや石炭などのエネルギー価格が前年度より下落しており、エネルギー・金属資源セグメントへの影響が出ています。
一方で、食品やモビリティ(車・機械)関連の非資源ビジネスが業績を下支えしており、また北欧の養殖サーモン事業(Cermaq:カナダ・ノルウェー)を新たに連結会社として加え、食料の安定調達という成長分野への投資も着実に進めています。
注目ポイント③:大規模自社株買いと配当110円
| 年度 | 中間配当 | 期末配当 | 年間合計 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年度(実績) | 50.00円 | 50.00円 | 100.00円 | ─ |
| 2025年度(予想) | 55.00円 | 55.00円 | 110.00円 | +10円 (+10%) |
年間配当は110円と前年の100円から10円(+10%)の増配予定で、中間配当55円はすでに実施済みです。さらに注目なのが大規模な自社株買いです。前期末(2025年3月)時点で4,455万株だった自己株式が、今期第3四半期末(2025年12月)には3億2,292万株へと大幅に増加しています。自社株買い(=会社が自分の株を市場で買い戻すこと)は1株あたりの利益を高める効果があり、株主還元強化の姿勢が明確に表れています。
今後の見通し
2025年度通期(2026年3月期)は、親会社帰属当期利益7,000億円(前年比△26.4%)を予想しています。資源価格・為替の動向が業績を左右する点は引き続き注意が必要です。ただし、資源偏重から「非資源ビジネスの強化」「サーモン養殖など食料事業の拡大」「再生可能エネルギーへのシフト」を進める中長期の方向性は変わっておらず、事業ポートフォリオの多様化が進んでいます。4Q(1〜3月)でさらに進捗が積み上がれば、通期予想に対して上振れの可能性もあると見られます。
まとめ
三菱商事の2025年度Q3決算は、前年の一時的な特殊利益の反動により大幅な減益に見えますが、事業の実力ベースでは底堅い業績が続いています。通期予想に対する進捗率は86.8%と高く、配当110円増額・大規模な自社株買いを通じて株主への還元強化の姿勢も鮮明です。資源価格と円相場の動向を見守りながら、非資源分野への多角化が今後の成長のカギとなりそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

