楽天グループ(証券コード:4755)が2026年5月14日に2026年12月期第1四半期の決算短信を発表しました。売上収益は前年同期と比べて14.4%増え、長らく赤字だった営業利益(本業で稼いだ利益)も黒字へと転換しました。携帯電話事業「楽天モバイル」の赤字幅も縮小が続いており、グループ全体の改善が進んだ内容です。
この会社、何をしてるの?
楽天グループは、インターネット通販モール「楽天市場」で知られる日本を代表するITサービス企業です。事業は大きく3つに分かれています。1つめは「インターネットサービス」(楽天市場や楽天トラベルなど)、2つめは「フィンテック」(楽天カード・楽天銀行・楽天証券などインターネットを通じたお金のサービス)、3つめは「モバイル」(楽天モバイルという携帯電話事業)です。
一つのIDで通販も金融も携帯電話もまとめて使える「楽天エコシステム」と呼ばれるしくみが特徴で、サービスをまとめて使う人が増えるほどグループ全体の利益が育っていくビジネスモデルとなっています。最近は楽天モバイルの赤字をどれだけ早く減らせるかが、株式市場で最大の注目点となっています。
業績サマリー
2026年12月期第1四半期(2026年1月〜3月)の主な数字は次のとおりです。単位はすべて億円で、百万円表示の数字を四捨五入してまとめています。
| 項目 | 前年同期(2025年1Q) | 当期(2026年1Q) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5,627億円 | 6,436億円 | +14.4% |
| IFRS営業利益 | △154億円 | 304億円 | 黒字転換 |
| Non-GAAP営業利益 | △3億円 | 363億円 | 黒字転換 |
| 親会社帰属四半期損失 | △735億円 | △186億円 | 損失大幅縮小 |
| EBITDA | 799億円 | 1,088億円 | +36.2% |
※ Non-GAAP営業利益(一時的な損益や特殊な費用を除いた、ふだんの実力に近い利益)は、楽天が経営判断に使っている社内指標です。
注目ポイント①:モバイル事業の損失が約130億円改善
楽天が長らく抱えてきた「楽天モバイル」の赤字は、引き続き縮んでいます。今回の四半期では、モバイル事業のセグメント損失(事業単体での赤字)が前年同期の△513億円から△380億円となり、133億円改善しました。
理由は2つあります。1つめは契約回線数の増加で、売上収益が前年同期比+18.5%と二桁成長を続けていること。2つめは、楽天市場や楽天カードなどグループ内のサービスを通じた集客(楽天エコシステム)を活かして、効率的にユーザーを獲得していることです。会社は今後も4G・5G基地局の設置拡大に加え、スマートフォンと低軌道衛星(地球の比較的近くを回る人工衛星)との直接通信にも投資する方針を示しています。
注目ポイント②:フィンテックが「稼ぐ柱」に成長
利益面で最大の貢献をしたのが、フィンテック事業です。セグメント利益は585億円(前年同期比+33.8%)と大きく伸びました。
特に楽天銀行は、日本銀行が政策金利(中央銀行が決める基準となる金利)を引き上げたことで、預かったお金を運用して得られる利息が大きく増えました。楽天証券は株式市場が活発だったため、口座数の拡大とあわせて大幅な増収増益となっています。「金利のある世界」が戻ってきたことが、楽天のフィンテックには追い風になっているわけです。楽天カードのショッピング取扱高も順調に伸びました。
注目ポイント③:最終損失は前年の4分の1まで縮小
親会社の所有者に帰属する四半期損失(最終的な赤字)は△186億円。前年同期の△735億円から大きく縮みました。1株当たりの損失も△34.08円から△8.59円へと、約4分の1の水準になっています。
ただし、まだ黒字には届いていません。これは楽天モバイル事業への投資(基地局の建設など)が続いていることや、為替や金融費用の影響が残っているためで、ここを黒字化できるかが今後の最大の焦点となります。なお、配当(株主へ利益を分ける仕組み)については2026年12月期も金額が未定の状態です。
今後の見通し
会社は2026年12月期の通期予想として、株式市況の影響を大きく受ける証券サービスを除いた連結売上収益で「一桁後半(5〜9%程度)の成長」を目指すと表明しました。営業利益についても、Non-GAAP・IFRSの両指標で「増益」を目標に掲げています。
事業面では、AIを活用した売上拡大とコスト削減、楽天モバイルの通信品質改善、フィンテック各社の顧客基盤拡大などに引き続き取り組む方針です。AIエージェント「楽天AIコンシェルジュ」などの新しい仕組みも、流通総額の押し上げ役として期待されています。
まとめ
楽天グループの2026年第1四半期は、売上・利益ともに改善が進む決算となりました。フィンテックが利益の柱として育ち、モバイルも赤字縮小が続いています。配当は引き続き未定の状態ですが、黒字化に向けた道筋は着実に見えてきた内容と言えそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。出典:楽天グループ株式会社「2026年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年5月14日開示)。

