日本を代表する総合商社・三菱商事(証券コード:8058)が2026年3月期の決算を発表しました。売上にあたる収益はわずかに増えたものの、最終的な利益は前の年より減りました。ただし、減益の主な理由は「昨年度だけにあった特別な利益」がなくなったためで、本業の力は底堅さを保っています。来年度(2027年3月期)は大幅な増益と増配を見込んでおり、先行きに自信を見せています。
この会社、何をしてるの?
三菱商事は、エネルギー・金属資源・食品・自動車・電力など、世界中の幅広い産業に関わる「総合商社(そうごうしょうしゃ)」です。総合商社とは、いわば「なんでも扱う大きなビジネスの橋渡し役」のこと。自分で工場を持って製品を作るだけでなく、国内外のさまざまな企業に投資して利益を得たり、オーストラリアの炭鉱開発から日本のコンビニ運営まで、生活を支えるあらゆる事業に携わっています。コンビニ大手「ローソン」の大株主としても知られています。三菱グループの中核企業として世界90か国以上に拠点を持つ、日本最大級の商社です。
業績サマリー
| 項目 | 前期(2025年3月期) | 当期(2026年3月期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 収益(売上相当) | 186,176億円 | 189,160億円 | +1.6% |
| 税引前利益 | 13,934億円 | 10,961億円 | △21.3% |
| 当期純利益(全体) | 10,762億円 | 9,167億円 | △14.8% |
| 親会社帰属当期純利益 | 9,507億円 | 8,005億円 | △15.8% |
| 1株当たり利益(EPS) | 236.97円 | 210.92円 | △11.0% |
| 年間配当 | 100円 | 110円 | +10円 |
当期純利益(親会社帰属)の比較単位:億円9,507億円前期2025年3月期8,005億円当期2026年3月期△15.8%前期当期
注目ポイント① 減益の主因は「昨年だけの特別利益」がなくなったから
今期の減益を見て「三菱商事は調子が悪い?」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。前の年(2025年3月期)には、コンビニ大手「ローソン」を持分法適用会社(かんたんに言うと「より密接に関係する子会社的な扱い」)に変えたことで、約3,000億円もの特別な利益(再評価益)が一度だけ発生していました。今期はこの特別利益がなかったため、数字のうえで大きく減ったように見えているのです。また、オーストラリアの原料炭(製鉄に使う石炭)事業の一部を前年度に売却した際の利益もなくなりました。これらは繰り返し起きることではない「一時的な要因」です。
注目ポイント② 社会インフラ・電力ソリューションが大幅改善
セグメント(事業部門ごとの区分)別に見ると、「社会インフラ」が前期の398億円から851億円へ+453億円と大幅に改善しています。これは、千代田化工建設(プラント建設の会社)が前年度に計上した大型損失の反動と、採算改善が進んだためです。また「電力ソリューション」は前期が156億円の赤字でしたが、今期は434億円の黒字に転換(+590億円)しました。国内の洋上風力(海の上に立てる風力発電)事業や欧米での電力トレーディング(取引)事業が好調でした。
今後の見通し
2027年3月期(来年度)の業績予想は、親会社帰属当期純利益が11,000億円(前期比+37.4%)と大幅な増益を見込んでいます。一時的な要因が剥落した分が戻ってくることや、各事業の収益改善が続く見通しです。配当(株主への利益の分配)は今期の110円から来期は125円へと増配(配当を増やすこと)する予定で、株主還元への積極的な姿勢も示しています。
まとめ
三菱商事の2026年3月期は、前年度の特別利益の反動などで数字のうえでは減益となりましたが、本業の実力は底堅く、来年度は大幅な増益と増配を見込む強気の見通しを示しています。一時要因に惑わされず、中身を見ることが大切です。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

