総合商社の三菱商事(8058)が、2026年8月3日に2027年3月期の第1四半期(4〜6月)決算を発表しました。純利益は2,985億円となり、前の年の同じ時期より47.0%増えました。通期(1年間)の予想は据え置いています。
この会社、何をしてるの?
三菱商事は、日本最大級の総合商社です。総合商社とは、世界中で商品を売り買いしながら、有望な事業に出資して一緒に育てていく会社のことです。三菱商事は資源分野に強いことで知られ、オーストラリアの原料炭(鉄を作るときに使う石炭)事業や銅事業などを持っています。
2026年度からは、事業を7つのグループに分けて運営しています。金属資源、エネルギー&パワーソリューション、マテリアルソリューション(素材)、社会インフラ、モビリティ(自動車など)、食品産業、そしてS.L.C.(暮らしに関わる分野)です。データセンターや電力といった、これから伸びるとみられる分野にも投資を広げています。
資源の値段の上がり下がりが業績に響きやすい一方、資源以外の分野も幅広く持つことでバランスを取っている会社です。
業績サマリー
| 項目 | 前年同期 | 今回1Q | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 収益 | 4兆2,187億円 | 5兆1,810億円 | +22.8% |
| 売上総利益 | 3,685億円 | 4,972億円 | +34.9% |
| 税引前利益 | 2,529億円 | 3,880億円 | +53.4% |
| 純利益 | 2,031億円 | 2,985億円 | +47.0% |
※純利益は「親会社の所有者に帰属する四半期純利益」です。国際会計基準(IFRS)で作成されています。

1株当たりの四半期利益は81円53銭で、前年同期の51円59銭から増えました。
注目ポイント①:資源価格の上昇が利益を押し上げた
売上総利益(商品を売って得たもうけ)は1,287億円増えました。会社は主な要因として「市況上昇」、つまり扱っている資源などの値段が上がったことを挙げています。加えて、資源関連の出資先から受け取る配当金が増えたことで、金融収益も601億円から950億円に伸びました。
一方で、販売費及び一般管理費(人件費や事務にかかる費用)は円安の影響などで564億円増え、金融費用も社債や借入の増加で108億円増えています。それでも利益の伸びが上回りました。
注目ポイント②:金属資源が大きく伸びた
セグメント(事業分野)ごとの純利益を見ると、金属資源が250億円から866億円へと大幅に増えました。エネルギー&パワーソリューションも393億円から719億円に伸びています。食品産業は210億円から362億円、マテリアルソリューションは119億円から178億円と、こちらも増えました。

逆に、社会インフラは358億円から296億円へ、S.L.C.は261億円から205億円へと減っています。全体としては、資源分野の好調が業績をけん引した四半期でした。
なお、子会社だった千代田化工建設が今期から連結の対象を外れ、持分法を適用する会社になっています。総資産が前期末から7,019億円減ったのは、この影響と季節的な要因が大きいとのことです。
注目ポイント③:手元に入るお金が大きく改善
本業で実際に手元に入ってきたお金を示す営業活動によるキャッシュ・フローは4,318億円で、前年同期の1,082億円から大きく増えました。ここから投資に使ったお金を差し引いたフリーキャッシュ・フローも、前年同期のマイナス813億円からプラス1,853億円に転じています。
通期予想と配当
2027年3月期の通期予想は、親会社の所有者に帰属する当期利益1兆1,000億円(前期比37.4%増)で、5月1日の発表から変更はありません。1Qの2,985億円は、この予想に対して約27%の進捗です。
年間配当(利益の一部を株主に分ける仕組み)の予想は1株125円で、前期の110円から増える計画です。また、自己株式の消却が進んだことで、発行済株式数は40億2,892万株から37億1,052万株へと減りました。1株あたりの価値を高める動きが続いています。親会社所有者帰属持分比率(総資産のうち返さなくてよいお金の割合)は41.1%で、前期末の39.1%から改善しました。
まとめ
資源価格の上昇を追い風に、利益が大きく伸びた四半期となりました。ただし通期予想は据え置かれており、会社としては今後の市況を慎重に見ているとも受け取れます。資源市況に左右されやすい会社ですので、この水準がどこまで続くかを見ていきたいところです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典:三菱商事株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月3日開示)

