開示日:2026年2月12日 / 対象期間:2025年1月1日〜2025年12月31日(2025年12月期 通期)
会社概要
楽天グループ株式会社(証券コード:4755)は、東京都世田谷区に本社を置く国内最大級のインターネット・テクノロジー企業です。楽天市場・楽天トラベルなどのインターネットサービス、楽天カード・楽天銀行・楽天証券などのフィンテックサービス、そして楽天モバイルを中心とするモバイルサービスの3セグメントで事業を展開しています。IFRS(国際財務報告基準)を採用し、東証プライム市場に上場。代表取締役会長兼社長は三木谷 浩史氏です。
2025年12月期 通期業績サマリー
| 指標 | 2025年12月期 | 前年同期比 | 2024年12月期(実績) |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,496,575百万円 | +9.5% | 2,279,233百万円 |
| IFRS営業利益 | 14,382百万円 | △72.9% | 52,975百万円 |
| Non-GAAP営業利益 | 106,277百万円 | +1,406% | 7,048百万円 |
| 税引前利益 | △29,550百万円 | — | 16,277百万円 |
| 親会社帰属当期損失 | △177,886百万円 | — | △162,442百万円 |
| EPS(基本的) | △82.24円 | — | △75.61円 |
| EBITDA ※ | 435,946百万円 | +33.7% | 326,039百万円 |
| 売上収益IFRS営業利益率 | 0.6% | — | 2.3% |
※ Non-GAAP営業利益に減価償却費等を加算したもの
注目ポイント3選
① IFRS減益の正体:前年の特殊益消滅が主因、実態はNon-GAAP利益が15倍改善
IFRS営業利益は14,382百万円(△72.9%)と大幅減益に見えますが、これは前年度(2024年12月期)においてAST SpaceMobile, Inc.株式の会計上の取り扱い変更による再測定益106,906百万円を計上した特殊要因の反動です。この特殊益を除いた実力ベースを示すNon-GAAP営業利益は7,048百万円から106,277百万円へと約15倍に急増しており、グループ全体の事業収益力は劇的に改善しています。また、EBITDAも前年比+33.7%の435,946百万円に拡大しており、キャッシュ創出力の回復が鮮明です。
② 楽天モバイル:EBITDA黒字化達成・1,000万回線突破の二大マイルストーン
楽天モバイル事業は、2025年12月期においてEBITDA黒字化を達成するという重要なマイルストーンを達成しました。モバイルセグメントの売上収益は482,838百万円(+9.6%)に拡大し、セグメント損失(モバイルエコシステム貢献額考慮後)は△208,933百万円から△161,841百万円へと47,092百万円もの大幅改善を実現。さらに2025年12月に全契約回線数が1,000万回線を突破(法人向けBCPプラン含むMNO・MVNE・MVNOの合算)し、加入者基盤の拡大と収益化が着実に進展しています。B2C及びB2BのARPU(加入者1人あたり平均収入)も前第4四半期比でそれぞれ上昇しています。
③ フィンテックが主力収益源として急成長(セグメント利益+30.3%)
楽天カード・楽天銀行・楽天証券などのフィンテックセグメントは引き続き好調で、セグメント損益(モバイルエコシステム貢献額考慮後)が153,377百万円から199,922百万円へと+30.3%の大幅増益となりました。楽天エコシステムへの貢献額(モバイル向け)も前年比+28.8%と拡大しており、グループ内のシナジー効果が高まっています。フィンテック事業がグループ全体の収益を支える主力エンジンとして機能しています。
セグメント別業績
| セグメント | 売上収益(2025年) | 前年比 | セグメント利益/損失 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| インターネットサービス | 1,369,697百万円 | +6.8% | +88,943百万円 | +4.5% |
| フィンテック | — | — | +199,922百万円 | +30.3% |
| モバイル | 482,838百万円 | +9.6% | △161,841百万円 | 改善(前年△208,933) |
※ セグメント損益はモバイルエコシステム貢献額考慮後
財政状態(2025年12月31日時点)
- 資産合計:28,804,400百万円(前期末26,514,728百万円)
- 資本合計:1,354,232百万円(前期末1,238,514百万円)
- 親会社所有者帰属持分:992,402百万円(前期末927,868百万円)
- 連結自己資本比率:3.4%(前期末3.5%)
- 1株当たり親会社所有者帰属持分:457.33円(前期末430.67円)
資産合計は約28.8兆円に上りますが、これは楽天銀行・楽天証券などの金融子会社の資産を含むためです。持分比率は金融グループとしての特性上、低い水準となっています。
配当
| 年間配当(合計) | |
|---|---|
| 2024年12月期(実績) | 0円(無配) |
| 2025年12月期(実績) | 0円(無配) |
| 2026年12月期(予想) | 未定 |
モバイル事業への継続投資を優先するため、無配を維持しています。2026年12月期の配当については現時点で未定としています。
今後の見通し
2026年12月期の業績予想について、楽天グループは株式市況の影響を大きく受ける証券サービスを除いた連結売上収益で一桁後半の成長率を目指すとしています(具体的な数値目標は非開示)。楽天モバイルはEBITDA黒字化を達成した勢いを持続させ、引き続き通信品質の向上・法人向けソリューションの拡充・契約者増加と満足度向上に取り組む方針です。また、AIを活用したサービス拡張(AIコンシェルジュ等)や、楽天エコシステムのシナジー強化も成長ドライバーとして機能する見通しです。
まとめ
楽天グループの2025年12月期は、表面上のIFRS営業利益は△72.9%と大幅減益ですが、その正体は前年度に計上した特殊利益(AST SpaceMobile再測定益)の反動です。実力を示すNon-GAAP営業利益は7,048億→106,277百万円と約15倍に急増し、EBITDAも+33.7%拡大。何より、楽天モバイルがEBITDA黒字化と1,000万回線突破という二大マイルストーンを達成したことが最大のトピックです。フィンテックの高成長(+30.3%)も力強く、楽天エコシステム全体の収益化が加速しています。モバイル事業の損失縮小と非GAAP利益の急改善から、黒字化への道筋が見え始めた楽天グループの動向から目が離せません。
※本記事は公開情報(決算短信)をもとに作成した参考情報であり、投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

