KDDI(9433)2026年3月期決算 売上高6兆円超・最終利益7,071億円で増収増益、グロース領域が成長を牽引

KDDI 決算ブログ

KDDI(東証プライム:9433)が2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の通期連結決算(IFRS)を発表しました。売上高は6兆718億円と6兆円の大台を超え、親会社帰属当期利益は7,071億円(+7.9%)と増収増益。IoT・データセンターなどグロース領域が成長を牽引するとともに、フリーキャッシュフローは前期比約10倍に改善しました。来期は年間配当を84円(+4円)に増配する予定です。

業績サマリー

指標 前期(2025/3) 当期(2026/3) 増減率
売上高 5兆8,355億円 6兆718億円 +4.1%
営業利益 1兆874億円 1兆991億円 +1.1%
調整後営業利益 ※ 1兆1,518億円
売上高営業利益率 18.6% 18.1% △0.5pt
税引前利益 1兆734億円 1兆1,179億円 +4.1%
当期利益 7,358億円 7,807億円 +6.1%
親会社帰属当期利益 6,554億円 7,071億円 +7.9%
基本的EPS(分割後) 161.86円 183.59円 +13.4%
ROE 12.8% 14.0% +1.2pt
年間配当(分割後) 75.00円 80.00円 +5円

※調整後営業利益は非経常的・一時的損益を除いたもの。来期予想は調整後ベースで提示。

売上高・親会社帰属利益の推移(前期・当期・来期予想)

売上高・親会社帰属利益の推移(億円)

58,355億円
前期
売上高

60,719億円
当期
売上高

64,100億円
来期予想
売上高

6,554億円
前期
帰属利益

7,071億円
当期
帰属利益

7,310億円
来期予想
帰属利益

青系=売上高 橙系=親会社帰属当期利益(来期予想は調整後) 各グループ内最大値を160pxとして比較

セグメント別業績

セグメント 前期売上高 当期売上高 売上増減率 前期営業利益 当期営業利益 利益増減率
パーソナル 4兆7,093億円 4兆8,127億円 +2.2% 8,463億円 8,283億円 △2.1%
ビジネス 1兆4,058億円 1兆5,279億円 +8.7% 2,353億円 2,639億円 +12.2%

注目ポイント

① ビジネスセグメントが高成長 グロース領域がKDDIの新たな柱に

IoT関連サービス・データセンターなどで構成される「グロース領域」の拡大により、ビジネスセグメントは売上高+8.7%・営業利益+12.2%と好調でした。法人向けDXサービスや通信インフラへの需要増が背景にあり、AIが前提となる社会に向けた中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」で掲げる「Infrastructure Fusion(通信基盤とAI基盤の融合)」が着実に進んでいます。

② パーソナルセグメントの営業利益は減少 契約コストの減損が影響

モバイル収入・金融事業収入が増加し売上高は+2.2%でしたが、過去に資産計上した短期解約者に係る契約コストの減損が発生したことで、パーソナルセグメントの営業利益は前期比△2.1%となりました。一時的な会計上の処理によるものとみられ、通信収入の基盤自体は引き続き安定しています。

③ フリーキャッシュフローが前期比約10倍に急改善

営業CFが1兆7,889億円(前期1兆2,490億円)に大幅増加した一方、投資CFの支出は△1兆804億円(前期は△1兆1,801億円)と若干減少し、フリーキャッシュフローは7,084億円(前期689億円)と約10倍に改善しました。前期はローソン関連会社株式取得など大型投資があったことの反動もあります。

④ ビッグローブ子会社で架空循環取引が発覚 内部統制リスクに要注意

子会社ビッグローブ及びその子会社ジー・プラン(広告代理事業)で、社員による実体のない架空循環取引が行われていたことが特別調査委員会の調査で判明しました。グループ全体のガバナンス強化と再発防止に取り組むと明言していますが、内部統制リスクとして継続的な監視が必要です。

来期(2027年3月期)予想

指標 当期実績(2026/3) 来期予想(2027/3) 増減率
売上高 6兆718億円 6兆4,100億円 +5.6%
調整後営業利益 1兆1,518億円 1兆2,100億円 +5.0%
調整後親会社帰属利益 7,120億円 7,310億円 +2.7%
調整後EPS(分割後) 184.86円 196.29円 +6.2%
年間配当(分割後) 80.00円 84.00円 +4円増配

配当・株主還元について

2025年4月1日に実施した1株→2株の株式分割後ベースで、当期の年間配当は中間・期末各40円の合計80円(連結配当性向43.6%)。来期は中間・期末各42円の合計84円と増配を予定しており、調整後利益に対する配当性向は42.8%を見込んでいます。3ヶ年にわたり「調整後当期利益の配当性向40%超を維持する」方針を掲げており、安定した株主還元継続への意志が示されています。

財務状態

総資産は19兆633億円(前期16兆7,147億円)と大幅に増加。これは主に金融事業の貸出金・営業債権の増加によるものです。親会社所有者帰属持分比率は26.6%(前期30.1%)と若干低下しましたが、金融事業を抱える通信持株会社としては許容範囲内。有利子負債は5兆3,754億円(前期4兆4,376億円)と増加していますが、営業キャッシュフロー1兆7,889億円と比べると十分に管理可能な水準です。ROEは14.0%(前期12.8%)と改善しています。

まとめ

KDDIの2026年3月期決算は、売上高6兆円突破・最終利益7,071億円の増収増益で着地しました。パーソナルセグメントの一時的なコスト減損は懸念材料ですが、IoT・データセンターを中心にしたビジネスセグメントの高成長(+12.2%)がカバー。フリーCFは前期比約10倍に急改善し、財務面での余力が大きく増しています。来期も売上高+5.6%・年間配当84円(+4円)と増収増益・増配を予想しており、中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」のもとでAI・DX需要を取り込む成長ストーリーが続きます。一方でビッグローブの架空循環取引問題はガバナンスリスクとして引き続き注視が必要です。

※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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