表面処理加工の専門会社・トーカロ(証券コード:3433)が2026年3月期の決算を発表しました。半導体製造装置向けの需要が生成AIやデータセンターの拡大を背景に好調を維持し、売上高は584億9,000万円(前期比+7.9%)と増収。営業利益は141億円(+15.0%)、当期純利益は100億6,000万円(+25.0%)と、利益面は売上以上に大きく伸びました。配当も年間85円と前期(68円)から大幅増配しており、株主還元にも積極的な姿勢が際立ちます。
この会社、何をしてるの?
トーカロは、「溶射(ようしゃ)」と呼ばれる特殊な表面処理技術を専門とする会社です。溶射とは、金属やセラミックスなどを高温で溶かして材料の表面に吹き付け、耐熱・耐摩耗・耐腐食などの特性を与える加工技術です。たとえば、半導体製造装置の部品や航空機エンジン・自動車部品・製鉄設備など、過酷な環境にさらされる部品の寿命を劇的に延ばすために使われます。最近では生成AI・データセンターを支える半導体製造装置の部品向けで需要が急拡大しており、東証プライム上場の業界トップ企業として国内外から注目されています。
業績サマリー
| 項目 | 前期(2025年3月期) | 当期(2026年3月期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 542億3,100万円 | 584億9,000万円 | +7.9% |
| 営業利益 | 122億6,800万円 | 141億0,200万円 | +15.0% |
| 経常利益 | 125億5,800万円 | 147億4,500万円 | +17.4% |
| 当期純利益(親会社帰属) | 80億5,100万円 | 100億6,000万円 | +25.0% |
| 1株当たり利益(EPS) | 135.45円 | 169.18円 | +24.9% |
| 年間配当 | 68円 | 85円 | +17円 |
営業利益と当期純利益の比較単位:億円 利益が売上以上の伸び率を記録122.7億円前期営業利益141.0億円当期営業利益+15.0%80.5億円前期純利益100.6億円当期純利益+25.0%営業利益当期純利益
注目ポイント① 半導体・生成AI需要がフル寄与 過去最高益を更新
今期の最大の牽引役は、半導体製造装置向けの溶射コーティング需要です。生成AI(人工知能)の普及やデータセンターの急拡大を背景に、半導体の製造量が世界的に増加しており、製造装置の部品加工を担うトーカロへの発注も大きく増えました。石油化学分野やフィルム・繊維分野は減収となったものの、半導体分野・産業機械・エネルギー・環境などの分野が堅調に推移し、全体では増収増益を達成。設備投資による減価償却費の増加や原材料・エネルギー価格の高騰という逆風をものともせず、高付加価値製品の販売拡大と生産効率向上で利益をしっかり伸ばした点が評価されます。当期純利益は初めて100億円を突破し、過去最高を更新しました。
注目ポイント② 米国アリゾナに子会社設立 グローバル展開を加速
今期の重要な動きとして、米国アリゾナ州に新たな連結子会社「TOCALO USA-Arizona LLC」を設立しました。アリゾナ州はTSMC(台湾積体電路製造)の大型工場が建設されるなど、半導体製造の一大拠点として急速に成長しています。そこに拠点を構えることで、世界最先端の半導体製造工場への部品供給を直接担える体制が整います。国内だけでなく海外でも確実に需要を取り込む布石を打ったといえます。また、配当面では今期の年間配当を85円(前期68円から+17円)と大幅増配し、連結配当性向は50.2%・純資産配当率(DOE)は7.9%に達しました。
今後の見通し
翌期(2027年3月期)の業績予想は、売上高650億円(+11.1%)、営業利益150億円(+6.4%)、経常利益150億円、当期純利益102億3,000万円(+1.7%)と、引き続き増収増益を見込んでいます。半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)分野を中心とした成長を確実に取り込むとともに、環境・エネルギー分野や産業機械分野などで新たな収益の柱を育成する計画です。次期の年間配当予想は86円(配当性向50%程度)と、今期の85円からさらに増配する方針を示しています。
まとめ
トーカロの2026年3月期は、生成AI・半導体需要の拡大という強い追い風を受け、売上高・利益ともに過去最高を更新した優れた決算でした。営業利益率は24.1%と高水準を維持し、米国への拠点設立によるグローバル展開加速も着実に進んでいます。来期も二桁増収増益を見込む強気の見通しで、「AI時代の縁の下の力持ち」として注目度が高まっています。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

