ピストンリングなどエンジン内部部品を手がける自動車部品メーカー、リケンNPR(証券コード:6209)が2026年5月15日に2026年3月期の通期決算を発表しました。売上高は前期比4.24%減と伸び悩んだものの、当期純利益は前期比60.2%増の140億円と大幅増益。配当も130円から210円へと80円の大幅増配を実施した注目の決算です。
この会社、何をしてるの?
リケンNPRは、自動車のエンジン内部で使われる「ピストンリング」を中心とした精密部品を製造・販売する専業メーカーです。ピストンリングとは、エンジンの燃焼室から排気ガスが漏れないようにするための小さなリング状の部品で、エンジンの性能を維持する上で欠かせない重要部品です。
もともと「リケン(帝国ピストンリング)」と「NPR(日本ピストンリング)」という2社が経営統合して誕生した会社で、国内外の自動車メーカーを顧客に持つグローバルな部品メーカーです。自己資本比率が70%と財務基盤も非常に健全です。
業績サマリー(2026年3月期)
| 項目 | 実績 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,631億1,400万円 | -4.2% |
| 営業利益(本業の儲け) | 128億4,700万円 | +8.8% |
| 経常利益 | 173億4,500万円 | +18.2% |
| 当期純利益(最終利益) | 140億2,700万円 | +60.2% |
| 1株当たり利益(EPS) | 521.56円 | +61.3% |
| 1株当たり配当金 | 210円 | +80円(前期130円) |
| 自己資本比率 | 70.0% | +3.7ポイント |
注目ポイント①|売上が減ったのになぜ利益は増えたのか
売上高は前期比4.2%の減収となりましたが、利益は大きく伸びました。この「売上減・利益増」の背景には、いくつかの要因が考えられます。
- コスト削減・原価改善:材料費・製造コストの見直しにより、売上高が減っても手元に残る利益が増えた
- 為替メリット:円安局面では海外売上を円換算した際に収益が膨らむ効果がある
- 有利子負債の大幅削減:借入金が前期比27.3%減となり、利息の支払い負担が軽減された
特に純利益が60.2%増と経常利益(+18.2%)を大きく上回っているのは、前期に計上していた特別損失が減少したか、今期に税金費用の改善があったことが影響していると見られます。
注目ポイント②|配当210円・前期比80円の大幅増配
配当金(株主への利益の分配)は前期の130円から210円へと80円増配となりました。増配率は約61%と非常に大幅な引き上げです。
期中には配当予想を135円→165円と一度修正しましたが、最終的にさらに引き上げて210円での着地となりました。純利益の大幅増益の成果を株主にしっかりと還元する姿勢がうかがえます。なお、来期(2027年3月期)の配当予想も210円と据え置きで安定した水準を維持する方針です。
来期(2027年3月期)の見通し——保守的な予想に注意
| 項目 | 2027年3月期 予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 100億円 | -22.2% |
| 経常利益 | 135億円 | -22.2% |
| 当期純利益 | 90億円 | -35.8% |
| 1株当たり配当金 | 210円 | ±0円 |
来期の業績予想は、今期と比べて大幅な減益が見込まれています。自動車産業がエンジン車からEV(電気自動車)に移行する動きの中で、エンジン部品を主力とするリケンNPRへの需要変化が懸念材料です。電気自動車にはピストンリングが不要なため、中長期的な事業環境の変化への対応が課題となっています。
一方で、内燃機関(エンジン)車はしばらくの間は世界的に使われ続けると見られており、足元の需要がすぐになくなるわけではありません。会社側が保守的な予想を出している面もあるため、実際の業績は予想を上振れる可能性もあります。
まとめ
- 2026年3月期は売上減(-4.2%)でも純利益+60.2%の大幅増益
- 有利子負債の削減・コスト改善が利益を押し上げた
- 配当は130円→210円と80円もの大幅増配。来期も210円を維持予定
- 来期予想は純利益-35.8%と保守的。EV化への対応が中長期的な課題
- 自己資本比率70%と財務基盤は非常に安定
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

