リケンNPR株式会社(証券コード:6209)が2026年5月15日に発表した2026年3月期の決算は、売上高は前期比4.2%減となったものの、経営統合シナジーや合理化・価格適正化の効果により営業利益・経常利益・純利益がそろって大幅増益となった好決算でした。さらに、米国の補修用ピストンリング最大手「Hastings Holding Corp.」を子会社化し、グローバルでのトップポジションをさらに強固にしています。年間配当は130円から210円へと80円もの大幅増配となりました。
この会社、何をしてるの?
リケンNPR株式会社は、2023年10月に株式会社リケンと日本ピストンリング株式会社(NPR)が統合して誕生した、自動車部品メーカーです。主力製品は「ピストンリング」と「カムシャフト」です。ピストンリングとは、エンジン内のシリンダー(筒状の部品)に取り付けられる金属の輪のことで、エンジンの燃焼ガスを密封し、エンジンオイルの管理をする重要な部品です。車が動くために欠かせない「縁の下の力持ち」です。
「RIKENブランド」と「NPRブランド」を持ち、世界のピストンリング市場でトップクラスのシェアを誇るグローバルメーカーです。事業は4つに分かれており、①自動車・産業機械部品事業(売上の約75%)、②配管・建設機材事業(水道管や建設資材)、③熱エンジニアリング事業(半導体・電子部品向けの熱処理設備)、④その他(EMC事業・医療関連製品等)を展開しています。
2026年3月期の業績まとめ
| 項目 | 前期(2025/3) | 当期(2026/3) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,703億円 | 1,631億円 | △4.2% |
| 営業利益(本業の利益) | 118億円 | 128億円 | +8.8% |
| 経常利益(通常の事業活動の利益) | 147億円 | 173億円 | +18.2% |
| 純利益(最終的な利益) | 88億円 | 140億円 | +60.2% |
| 1株あたり配当(株主への分配金) | 130円 | 210円 | +80円 |

注目①売上減でも大幅増益の理由
今期の売上高は前期比4.2%減と減収になりましたが、利益はそろって大幅増加しました。これはなぜでしょうか?
最大の理由は、経営統合シナジー(統合による相乗効果)と合理化・価格適正化です。リケンとNPRの統合から2年が経ち、両社の生産ラインを最適化したり、購買コストを削減したりする「統合効果」が着実に出てきています。また、原材料費上昇分を製品価格に転嫁する取り組みも進みました。
さらに、為替差益(円安の恩恵)の計上や、退職給付信託返還益(年金の積立超過分を会社に戻す益)約30億円も純利益の押し上げに貢献しています。
注目②米国Hastings社を買収・グローバルトップ強化
2026年4月13日、リケンNPRの子会社「Riken Corporation of America(RCA)」が、米国の補修用ピストンリングメーカー大手「Hastings Holding Corp.(HHC)」の全株式を約835億円(83,500千ドル)で取得しました。
補修用ピストンリング(アフターマーケット向け)とは、古い車のエンジンを修理・整備するときに交換する部品市場のことです。Hastingsブランドは北米市場で圧倒的なシェアを誇るNo.1プレーヤーです。リケンNPRはすでに新車向けのピストンリングで世界トップクラスですが、補修用市場も取り込むことで、グローバルでのトップポジションを盤石にします。
注目③年間配当210円・前期から80円の大幅増配
今期の年間配当は1株あたり210円(中間50円+期末160円)となりました。前期の130円から一気に80円増えた形です(配当性向40.3%)。期末配当は当初115円の予定でしたが、好業績を受けて160円に引き上げられました。
来期(2027年3月期)の配当予想も210円(中間80円+期末130円)と据え置きが予定されており、安定した株主還元が継続します。第一次中期経営計画(2025~2027年3月期)では「3ヵ年合計で株主還元額200億円以上・総還元性向70%以上」を掲げており、株主を重視した経営方針が明確です。
来期(2027年3月期)の業績予想
| 項目 | 当期実績(2026/3) | 来期予想(2027/3) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,631億円 | 1,620億円 | △0.7% |
| 営業利益 | 128億円 | 100億円 | △22.2% |
| 経常利益 | 173億円 | 135億円 | △22.2% |
| 純利益 | 140億円 | 90億円 | △35.8% |
| 1株配当 | 210円 | 210円 | 据え置き |
来期は今期に計上した退職給付信託返還益(一時的な特別利益)がなくなるため、純利益は△35.8%の大幅減益予想となっています。また地政学リスク(米国関税政策・中東情勢等)による需要減やコスト増も織り込んでいます。Hastings買収の貢献が来期以降に期待されます。
まとめ
リケンNPRの2026年3月期は、売上高こそ減少したものの、統合シナジーの効果で営業利益・経常利益・純利益がそろって大幅増益となった高品質な決算でした。米国Hastings社の買収によるグローバル事業拡大と、大幅増配による積極的な株主還元が印象的です。来期は一時的な特別利益がなくなり減益予想となっていますが、中長期的な事業強化の取り組みが続きます。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

