通信大手のKDDIが2026年8月7日、2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の決算を発表しました。売上高は前の年の同じ時期より5.1%増え、営業利益は21.1%増と大きく伸びました。通期(1年間)の業績予想と配当予想は据え置いています。
この会社、何をしてるの?
KDDIは「au」「UQ mobile」「povo」といったブランドで知られる、国内の通信大手3社の一角です。
主な収入は、スマートフォンや携帯電話の毎月の通信料金です。これに加えて、光回線などの固定通信、クレジットカードや保険といった金融サービス、電気の販売なども手がけています。通信の契約者に別のサービスも使ってもらう、いわば「まとめて生活を支える」形の事業展開が特徴です。
近年力を入れているのが法人向けの分野です。企業のデータを預かるデータセンターの運営や、サイバー攻撃から会社を守るセキュリティ、AI(人工知能)を業務に組み込む支援などを広げています。
第1四半期の業績サマリー
KDDIはIFRS(国際的な会計ルール)で決算を発表しています。主な数字は次のとおりです。
| 項目 | 前年同期(2025年4〜6月) | 今回(2026年4〜6月) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆4,157億円 | 1兆4,873億円 | +5.1% |
| 営業利益 | 2,595億円 | 3,142億円 | +21.1% |
| 税引前利益 | 2,567億円 | 3,085億円 | +20.2% |
| 親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 1,601億円 | 1,955億円 | +22.1% |
| 1株当たり四半期利益 | 40円23銭 | 51円34銭 | ― |

売上が増えたのは、携帯電話の通信料収入、金融事業の収入、スマートフォン本体などの販売、そしてセキュリティやAI、データセンターの収入が伸びたためです。
ただし前の年の同じ時期は、営業利益が4.7%の減益でした。今回の21.1%増には、その反動という面もあります。
注目ポイント1:新しい3つの区分すべてで増益
この四半期から、事業の区分が「パーソナル」「ビジネス」の2つから、「テレコムコア」「パーソナルグロース」「ビジネスグロース」の3つに変わりました。通信の本体部分と、そこから広げている成長分野を分けて見せる形です。なお前年同期の数字も、新しい区分に置き換えたものが公表されています。
ここでいう調整後営業利益とは、一時的な損益を除いて、事業の実力を見やすくした利益のことです。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 調整後営業利益(前年同期比) |
|---|---|---|---|
| テレコムコア | 1兆836億円 | +3.4% | 2,107億円(+19.5%) |
| パーソナルグロース | 2,808億円 | +8.6% | 555億円(+9.3%) |
| ビジネスグロース | 1,652億円 | +11.7% | 185億円(+21.6%) |

売上の7割超を占めるテレコムコアは、携帯電話の通信料収入が増えて調整後営業利益が19.5%増えました。パーソナルグロースは金融サービスやスマートフォン本体の販売が伸びたほか、持分法で取り込むローソンの利益が増えたことも寄与しています。ビジネスグロースはセキュリティ・AI・データセンターが伸び、3区分のなかで最も高い21.6%の増益でした。
注目ポイント2:自己株式の消却と、営業キャッシュ・フローのマイナス
発行済株式数は前の期末の41億8,784万株から40億0,745万株へと、約1億8,039万株減りました。会社が買い戻した自分の株を消したためです。株の数が減ると1株あたりの利益や配当の価値が高まりやすくなります。
一方で気になるのが、営業活動によるキャッシュ・フロー(本業で実際に出入りしたお金)が1,135億円のマイナスになったことです。前の年の同じ時期は3,311億円のプラスでした。
これは本業が振るわなかったからではなく、金融事業の借入金がこれまでの増加から減少に転じたことが主な理由だと会社は説明しています。KDDIは銀行やカード事業を抱えているため、資金の貸し借りの動きがそのままキャッシュ・フローに表れます。
今後の見通し:通期予想は据え置き、配当は年84円の予想
2027年3月期の通期予想は、2026年5月12日に公表した内容から変更されていません。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6兆4,100億円 | +5.6% |
| 調整後営業利益 | 1兆2,100億円 | +5.0% |
| 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益 | 7,310億円 | +2.7% |
| 1株当たり年間配当 | 84円 | 前期は80円 |
第1四半期の調整後営業利益3,143億円は、通期予想1兆2,100億円に対して26.0%の進み具合です。四半期の平均である25%をやや上回るペースで始まったことになります。
配当(会社が株主に利益を分けるお金)は中間42円・期末42円の年84円を予想しており、前の期の80円から4円増える見込みです。
なお会社は、2026年6月に判明したISP事業者向けメールシステムへの不正アクセスについて、対象の事業者と連携して対応と再発防止に取り組んでいると説明しています。
まとめ
KDDIの第1四半期は、売上高が5.1%増、営業利益が21.1%増と好調な滑り出しとなりました。通信の本体であるテレコムコアが伸びたうえ、金融やデータセンター、セキュリティといった成長分野もそろって増益となっています。
通期の予想と年84円の増配予想はいずれも据え置かれました。前の年の同じ時期が減益だった反動という面もあるため、この勢いが下期まで続くかどうかが見どころになりそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典:KDDI株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月7日開示)

