技術者派遣を手がけるアルトナーが、2026年6月10日に2027年1月期の第1四半期決算(2026年2月~4月)を発表しました。自動車や半導体向けの技術者ニーズが強く、売上・利益ともに好スタート。本業のもうけ具合を示す営業利益率は18.1%と高い水準でした。何が起きたのか、やさしく整理します。
この会社、何をしてるの?
アルトナーは、機械や電気・電子製品の設計開発を担う「技術者」を、メーカーに派遣する会社です(技術者派遣=自社で雇った技術者を、人手の足りない企業の現場に送り出す仕事)。とくに自動車メーカーや、半導体をつくる装置のメーカーなど、研究開発・設計の現場に強いのが特徴です。事業は2本柱で、技術者を客先に送る「技術者派遣事業」と、仕事をまるごと引き受ける「請負・受託事業(プロジェクト単位で成果物を仕上げて納める仕事)」があります。大阪に本社を置く東証プライム上場企業で、決算は1月で1年を区切ります。技術者を“育てて送り出す”ことで稼ぐ会社、とイメージすると分かりやすいです。
第1四半期の業績と通期予想への進捗
| 項目 | 第1四半期実績 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.0億円 | 140.2億円 | 25.0% |
| 営業利益(本業のもうけ) | 6.3億円 | 20.2億円 | 31.3% |
| 経常利益(本業+財務のもうけ) | 6.3億円 | 20.0億円 | 31.5% |
| 純利益(最終的に残る利益) | 4.3億円 | 12.5億円 | 34.1% |
※会社発表(百万円)を億円に換算。今期は会計処理の都合で前年同期との比較が開示されていないため、通期予想に対する進捗率で見ています。営業利益率は18.1%でした。

注目ポイント①:なぜ好調なのか
好調の一番の理由は、自動車メーカーや半導体製造装置メーカーからの技術者の引き合いが強いことです。研究開発の現場で技術者が足りておらず、アルトナーの技術者の稼働率(実際に仕事に就いている割合)は高い水準が続いています。さらに、世の中の賃上げの流れや人手不足を背景に、技術者一人あたりの単価(派遣の料金)も前の期から上がり続けています。技術者の人数そのものも増えており、「人数 × 単価 × 稼働率」がそろって伸びたことが、増収増益につながりました。加えて、技術者を送り出すだけでなく、仕事をまるごと請け負う「請負・受託」へ切り替えるプロジェクトも増え、この事業の売上に占める割合が高まっています。
注目ポイント②:利益の進みが速い
利益のペースが速いのも特徴です。第1四半期だけで、通期で見込む営業利益(20.2億円)の3割を超える額を稼ぎました。1年の4分の1にあたる25%を上回るペースで、出だしは順調です。採用活動やIT・DX(デジタル化)、研修設備への投資はかさみましたが、売上の伸びでこれらの費用を吸収し、利益を伸ばしました。上のグラフのとおり、売上は25%ちょうどの進捗でも、利益はそれを上回って進んでいます。
注目ポイント③:増配予想、通期予想は据え置き
株主への配当(会社のもうけの分け前)は、今期の年間予想を1株あたり86円と、前の期の84円から2円増やす計画です。一方、3月に公表した通期の業績予想は今回変更していません。なお、下のグラフのとおり、通期では売上高は二桁の伸びを見込むものの、純利益の予想は前の期とほぼ同じ水準(前期比△0.9%)にとどまります。営業利益が前期比プラス10.7%なのに純利益がほぼ横ばいなのは、税金などの負担の違いによるものとみられます。

今後の見通し
会社は通期(1年間)で売上高140.2億円(前の期より16.4%増)と、二桁の伸びを見込んでいます。技術者の人数と単価がそろって伸びる今の流れが続くかどうかが、目標達成のカギになりそうです。第1四半期の利益の進み具合を見るかぎり、スタートは堅調といえます。世界経済の不透明感はあるものの、研究開発の現場の技術者ニーズは底堅く推移しています。
まとめ
アルトナーの第1四半期は、自動車・半導体向けの旺盛な技術者ニーズを追い風に、営業利益率18.1%・通期予想に対して利益は3割超の進捗という好スタートになりました。今後は、増配予想の実現と、二桁成長をめざす通期目標に向けた人材の確保が注目点になりそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。(出典:株式会社アルトナー「2027年1月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年6月10日開示)

