アジサイ「万華鏡」は、その繊細な花びらと淡いグラデーションが美しい大変人気のある品種です。一度その魅力に惹かれると、「もっと増やしてみたい」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、万華鏡を挿し木でバックアップを作る方法について、私自身の経験とともに詳しくご紹介します。
「万華鏡」は園芸品種のため、種から育てるのは現実的ではなく、挿し木が基本的な増やし方になります。挿し木は家庭で比較的手軽にできます。
一般的なガクアジサイや西洋アジサイと比べてややデリケートな印象はありますが、タイミングと管理をしっかりすれば、十分に挿し木で増やすことが可能です。
※種苗登録されている園芸品種は、「種苗法」により許可なく増やすこと(無断増殖)が禁止されています。これは品種を開発した育成者の権利を守るためで、挿し木や株分けも対象です。個人利用でも注意が必要な場合があり、営利目的での増殖・譲渡・販売は特に法律違反となります。

個人で楽しむだけにしてね!
アジサイの挿し木に適した時期は6月中旬〜7月中旬頃。
梅雨時期で湿度があり、発根にも適した気温(20〜25℃)が続くこの時期がベストです。万華鏡も例外ではなく、このタイミングを逃さないようにしましょう。
挿し木に使用する枝は「今年伸びた新しい枝(新梢)」が理想です。
・花が咲いていない部分
・葉が2〜3対ついているもの
・やや柔らかさが残っているが、しっかり自立する太さ
これらの条件を満たす枝を選びます。
特に万華鏡は花つきが良いため、剪定時に花後の枝先を使いたくなりますが、花が咲いた枝は挿し木には向かないことが多いため、花芽のついていない側枝やわき芽を選ぶようにしましょう。

1.枝を切る
清潔なハサミで、長さ10〜15cm程度にカットします。上は節の少し上、下は節のすぐ下を斜めに切ります。
2.葉を整理する
下の葉はすべて取り除き、上の葉は半分にカットして蒸散を防ぎます。万華鏡の葉は厚みがあり水分蒸発が早いため、葉の処理が成功のカギです。
3.発根促進剤を使用(任意)
「ルートン」などの発根促進剤を使うと成功率が上がります。切り口を湿らせて粉末をまぶします。
4.用土に挿す
赤玉土小粒や鹿沼土、バーミキュライトなど、清潔で保水性の高い挿し木用土を用意し、割り箸などで穴を開けてから優しく差し込みます。
アジサイの挿し木は、通常2〜3週間で発根が始まります。

指で軽く引っ張って抵抗を感じたら根が出てきた証拠です。
発根が確認できたら少しずつ日照に慣らし、1ヶ月ほど経ったら鉢上げ(ポットへの移植)を行います。
鉢上げ後は、引き続き半日陰で管理しながら、根がしっかり張るまで水切れに注意して育てます。肥料は根づいてから、薄めの液肥などを与えましょう。
挿し木苗は翌年の開花は見送ることが多いです。枝数も少なく株が未熟なため、まずは株を充実させることが優先です。
花が咲くのは2年目以降と考え、焦らずじっくり育てましょう。万華鏡の美しい花が再び咲く瞬間は、その分感動もひとしおです。
アジサイ「万華鏡」は、その美しさゆえに多くのファンを持つ品種です。
その魅力をより多くの場所で楽しむために、挿し木は最適な方法といえるでしょう。ややデリケートではありますが、丁寧に管理すれば成功率も高く、育てた株が咲いたときの喜びは格別です。
今年の開花が終わったあとの枝を使って、ぜひ一度挿し木にチャレンジしてみてください。来年、または再来年、自分の手で増やした「万華鏡」が咲いた時の感動は、何ものにも代えがたいはずです。


じゃあね~ ばいばい~。
