楽天グループ(4755)2025年12月期決算分析|モバイル1,000万回線突破・Non-GAAP営業利益1,407%増

楽天G 決算ブログ

日本最大のインターネット企業グループ、楽天グループ(証券コード:4755)が2026年2月12日に2025年12月期の通期決算を発表しました。売上収益は前期比9.5%増の2兆4,966億円と拡大。本業の実力を示すNon-GAAP営業利益(一時的な損益を除いた指標)は前期比1,407%増の1,063億円と大幅に改善しました。一方で、大規模な減損損失(設備の価値を帳簿上で引き下げる処理)が重なり、親会社帰属の純損失は1,779億円と赤字が拡大しています。また、楽天モバイルの契約回線数が1,000万回線を突破し、モバイル事業はEBITDA(キャッシュの稼ぐ力を示す指標)ベースで初めて黒字化を達成するという大きな節目の決算となりました。

この会社、何をしてるの?

楽天グループは「楽天市場」や「楽天トラベル」などのインターネットショッピングサービス(EC)を中心に、クレジットカード(楽天カード)・銀行・証券・保険などの金融サービス(フィンテック)、そして携帯電話の通信サービス(楽天モバイル)を展開するグループ企業です。日本のインターネット業界最大級の「楽天エコシステム(生態系)」を構築していることが最大の特徴です。

楽天市場で買い物をすると楽天ポイントが貯まり、そのポイントを楽天カードや楽天銀行・楽天モバイルでも利用できるという「ポイント経済圏」のしくみを持っています。ユーザーが複数のサービスをまとめて使うほど、各事業が相互に成長する構造です。国内のECや金融だけでなく、電子書籍「Rakuten Kobo」やメッセージアプリ「Rakuten Viber」など海外事業も展開しています。現在は三木谷浩史会長兼社長のもと、インターネットサービス・フィンテック・モバイルの3事業を柱に成長を目指しています。

2025年12月期 業績サマリー

項目 前期(2024年12月) 当期(2025年12月) 前期比
売上収益 2兆2,792億円 2兆4,966億円 +9.5%
Non-GAAP営業利益※ 70億円 1,063億円 +1,407.9%
IFRS営業利益 530億円 144億円 △72.9%
親会社帰属の当期損失 △1,624億円 △1,779億円 赤字拡大

※Non-GAAP営業利益:一時的な損益・株式報酬・無形資産償却などを除いた「本業の実力」を示す社内指標

楽天グループ2025年12月期 業績比較グラフ

注目ポイント①:楽天モバイルが1,000万回線突破・EBITDA初黒字化

2025年12月、楽天モバイルの全契約回線数が1,000万回線(法人向けBCPプラン含む)を突破しました。2020年のサービス開始から5年での達成です。回線数の拡大とともに顧客あたりの利用料収入も上昇し、モバイル事業の売上収益は前期比9.6%増の4,828億円となりました。

さらに、モバイル事業がEBITDA(イービットダー:減価償却費(設備投資の費用化)を差し引く前の営業利益で、現金を稼ぐ力を示す指標)ベースで初めて黒字化を達成しました。通信会社は設備投資が巨額になるため、EBITDAを重視します。この黒字化は「本業のキャッシュ創出力がついてきた」ことを意味します。セグメント損失は依然1,618億円ですが、前期の2,089億円から大幅に改善しています。

注目ポイント②:本業の実力はV字回復——Non-GAAP営業利益が1,407%増

IFRS(国際会計基準)の営業利益は前期比72.9%減の144億円と大きく落ち込んでいますが、これは一時的な損失(減損や訴訟費用など)が積み重なったためです。それらを除いた「本業の実力」を示すNon-GAAP営業利益は、前期の70億円から当期は1,063億円へと実に1,407%増加しました。

セグメント別に見ると、インターネットサービス(楽天市場など)のセグメント利益は前期比4.5%増の889億円、フィンテック(楽天カード・楽天銀行など)は日銀の利上げ(政策金利の引き上げ)による利息収入の増加なども追い風となり、前期比30.3%増の1,999億円と大きく拡大しました。楽天の「ポイント経済圏」の力強さが数字にも表れています。

注目ポイント③:大型減損683億円が純損失を押し上げ

純損失が拡大した主な原因は、複数の事業での大型の減損損失(設備・資産の帳簿価値を引き下げる処理)です。主なものを挙げると、倉庫型ネットスーパー「楽天マート」において顧客獲得が計画を大幅に下回り、関西エリアの倉庫撤退を決定したことによる減損が270億円。倉庫貸し出し(ロジスティクス事業)で荷量増加の見通しが悪化したことによる減損が100億円。そして、通信プラットフォーム子会社「楽天シンフォニー」のOpen RAN事業(次世代型の開放的な基地局技術)のビジネス立ち上げに想定以上の時間がかかったことによる減損が205億円。合計で583億円超の減損が今期に集中して計上されました。

これらは「現金が出ていくわけではない会計上の処理」ですが、損益には直接影響します。配当については2025年12月期も引き続き無配(0円)となりました。

今後の見通し——来期2026年12月期の方針

会社は来期(2026年12月期)について、証券サービスを除いた連結売上収益を「一桁後半の成長率」と目標を示しており、Non-GAAP営業利益・IFRS営業利益ともに増益を目指すとしています。具体的な数値予想は公表されていません。

各事業の方針として、インターネットサービスではAI(人工知能)コンシェルジュを活用した購買体験の向上、フィンテックでは個人ローンや証券化ビジネスの拡大、モバイルでは更なる回線数の獲得と損益改善を目指します。楽天モバイルは2026年中に低軌道衛星との直接通信(圏外地域でもスマホが使えるしくみ)の実現も計画しています。配当の再開については「連結業績の黒字化と有利子負債の削減を進める中で、適時適切に判断する」としており、現時点では未定です。

まとめ

楽天グループ(4755)の2025年12月期は、楽天モバイルの1,000万回線突破・EBITDA黒字化という大きな節目を迎え、本業の実力(Non-GAAP)は大幅に改善しました。しかし大規模な減損損失が重なり、最終的な純損失は拡大。フィンテック事業の好調と会計上の一時損失が混在した「複雑な決算」と言えます。来期は各事業のさらなる収益改善とモバイル赤字の縮小がカギとなります。


本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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