世界最大の自動車メーカー、トヨタ自動車(証券コード:7203)が2026年3月期の本決算を発表しました。売上にあたる営業収益は50兆6,849億円と過去最高を更新した一方、営業利益は前期比21.5%の大幅な減少となりました。電動化を着実に進めながら、コスト増や米国関税の影響が利益を圧迫した決算です。
この会社、何をしてるの?
トヨタ自動車は「プリウス」「カローラ」「ランドクルーザー」などのブランドを世界で販売する、日本最大・世界最大級の自動車メーカーです。車の製造・販売だけでなく、金融サービス(ローンやリース)や部品事業なども手がけています。近年は「電動化」(ガソリンエンジンの代わりに電気で走るしくみへの移行)に力を入れており、ハイブリッド車(HEV:ガソリンと電気の両方で走る車)や電気自動車(BEV)の普及を推進しています。2026年3月期には、電動車の年間販売台数が初めて500万台を超えました。なお、トヨタは国際会計基準(IFRS)を採用しているため、「売上高」ではなく「営業収益」という表現を使います。
業績サマリー
| 項目 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上相当) | 50兆6,849億円 | 48兆368億円 | +5.5% |
| 営業利益(本業の稼ぎ) | 3兆7,662億円 | 4兆7,955億円 | △21.5% |
| 当期利益(親会社帰属) | 3兆8,480億円 | 4兆7,650億円 | △19.2% |
| 1株当たり利益(EPS) | 295.25円 | 359.56円 | — |
営業収益(売上)は過去最高を更新しましたが、営業利益は4兆7,955億円から3兆7,662億円へと約1兆円もの大幅減少となりました。労務費・原材料コストの増加に加え、電動化・ソフトウェア開発への研究開発費の積み増し、そして円高と米国関税の影響が利益を圧迫しました。
注目ポイント①:電動車500万台突破という歴史的節目
2026年3月期において、ハイブリッド車(HEV)・電気自動車(BEV)などの電動車の年間販売台数が初めて500万台を超えました。これはトヨタが長年力を入れてきた電動化戦略の大きな成果です。「脱炭素」(CO₂を減らす取り組み)の世界的な流れを着実に取り込んでおり、電動車の比率が高まるほど将来的な競争力の底上げが期待されます。
注目ポイント②:増配予定も来期は再び大幅減益の見通し
2026年3月期の年間配当(株主への利益分配)は1株あたり95円(中間45円+期末50円)で、前期の90円から5円の増配となりました。さらに来期(2027年3月期)は100円への増配を予定しており、利益が減少するなかでも株主還元の姿勢を維持しています。
ただし、2027年3月期の業績予想は営業利益が約3兆円(前期比20%超の減少)と再び大幅な減益見通しです。米国の関税政策や円高・原材料コスト上昇が重荷となる見通しで、市場の期待を下回る保守的な計画となっています。
今後の見通し
トヨタはHEV・BEV・燃料電池車(FCEV:水素で走る車)など多様な電動車を展開する「マルチパスウェイ」戦略を推進しています。短期的には関税やコスト増という逆風がありますが、世界トップの販売規模と総資産105兆円という強大な財務基盤を持つ企業として、中長期での回復力は注目されます。
まとめ
トヨタの2026年3月期は「増収大幅減益」の決算でした。売上は過去最高を更新しましたが、コスト増や関税の影響で営業利益は2割超の減少。電動車500万台突破という明るい材料はありますが、来期も厳しい環境が続く見通しです。増配を続けながら電動化投資を積み上げる正念場といえるでしょう。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

