日本最大手の損害保険グループ、東京海上ホールディングスが2026年5月20日に2026年3月期(2025年4月~2026年3月)の本決算を発表しました。海外の保険事業が伸びた一方、国内の損害保険が減益となり、全体の利益は前の年より少し減りました。ただ、株主への配当は大きく増やす計画です。やさしく整理します。
この会社、何をしてるの?
東京海上ホールディングスは、日本で最大手の損害保険グループです。自動車保険や火災保険といった「損害保険」(事故や災害で受けた損害を、お金で穴埋めしてくれる保険)を中心に、生命保険も手がけています。グループの中核は東京海上日動火災保険。国内だけでなく、アメリカや欧州など海外にも幅広く事業を広げているのが大きな特徴で、いまや利益のかなりの部分を海外で稼いでいます。保険料を集めて運用し、事故や災害が起きたら保険金を支払う——その「引き受け」と「資産運用」の両輪で稼ぐ会社、とイメージすると分かりやすいです。3月決算の東証プライム上場企業です。
2026年3月期の業績
| 項目 | 前期(2025/3) | 当期(2026/3) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 経常収益(保険料などの収入) | 8兆4,401億円 | 8兆8,722億円 | +5.1% |
| 経常利益(本業のもうけ) | 1兆4,600億円 | 1兆3,486億円 | △7.6% |
| 当期純利益(最終的に残る利益) | 1兆552億円 | 9,804億円 | △7.1% |
※会社発表(百万円)を億円に換算。1株当たり当期純利益は515.55円。経常収益は伸びましたが、利益は前の年をやや下回りました。

注目ポイント①:海外が支え、国内損保が減益
事業のグループ(セグメント)別に見ると、明暗が分かれました。海外保険事業の経常利益は前の年より705億円増えて5,590億円。アメリカや欧州での事業が伸び、グループ全体を支えています。一方、国内の損害保険事業は1,488億円減って7,444億円、国内の生命保険事業も減益でした。前の年(2025年3月期)は、保有していた株式の売却益などで利益が大きくふくらんでいたため、その反動が出た面もあります。
注目ポイント②:配当を大きく増やす
利益は少し減りましたが、株主への配当(会社のもうけの分け前)は増やし続けています。2026年3月期の年間配当は1株218円と、前の年(172円)から46円の増配。さらに2027年3月期は245円と、もう一段増やす予想です。東京海上は、長く持ち合ってきた取引先の株式(政策保有株式)を売り、その資金も活用しながら株主への還元を強めています。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は2026年3月期で42.3%でした。

注目ポイント③:来期から会計ルールが「IFRS」に
2027年3月期からは、決算の会計ルールが日本基準から「IFRS(国際財務報告基準)」という世界共通のものさしに変わります(任意適用)。会社が示した2027年3月期の利益予想は、このIFRSベースで8,300億円。会社は「IFRSで計算し直した前の期と比べて+56.2%」と説明しています。ここで注意したいのは、この8,300億円は日本基準の9,804億円とは“ものさし”が違うため、単純に増えた・減ったと並べて比べられない点です。数字の見た目だけで判断しないことが大切です。
今後の見通し
会社は2027年3月期に、自然災害による保険金の支払いを国内1,050億円・海外950億円ほど見込んだうえで、IFRSベースの利益8,300億円を予想しています。引き続き、海外事業の成長と、株主還元の強化が注目点になりそうです。地震や台風などの大きな自然災害が起きると保険金の支払いがふくらむため、その年の災害の多さも業績を大きく左右します。なお、グループの総資産は約32兆円、自己資本比率は17.0%と、保険会社らしい大きな規模と安定した財務基盤を持っています。
まとめ
東京海上の2026年3月期は、海外保険の好調が国内損保の減益を一部おぎない、全体では小幅な減益となりました。それでも配当は増配が続き、来期からはIFRSへと会計ルールが変わります。利益の“ものさし”が変わる点に注意しつつ、海外の成長と株主還元の流れに注目したい決算です。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。(出典:東京海上ホールディングス株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年5月20日開示)

