美容室チェーンを運営するAB&Company(エービーアンドカンパニー)が、2026年6月12日に2026年10月期の第2四半期(中間期、2025年11月~2026年4月)の決算を発表しました。売上・利益ともに大きく伸びる好調な内容です。今回は、この会社を「新しい投資候補」として見た場合の評価もあわせて、やさしく整理します。
この会社、何をしてるの?
AB&Companyは、全国に美容室(ヘアサロン)を展開する会社です。中心となるのは「Agu.(アグ)ヘアー」というブランドで、店舗数では国内でも有数の規模をもつ美容室チェーンです。事業は大きく3つあり、自社で直接お店を運営する「直営美容室事業」、お店のオーナーを支援する「フランチャイズ事業」、店舗の内装などを手がける「インテリアデザイン事業」です。最近は、ほかの美容室運営会社を買収(M&A)して店舗を増やす戦略を進めています。東京証券取引所のグロース市場(成長をめざす企業向けの市場)に上場し、決算は10月で1年を区切ります。会計は国際ルールのIFRSを使っています。
中間期の業績
| 項目 | 前年中間期 | 当中間期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 92.3億円 | 107.8億円 | +16.8% |
| 営業利益(本業のもうけ) | 8.1億円 | 12.4億円 | +52.5% |
| 税引前利益 | 7.2億円 | 11.1億円 | +53.5% |
| 中間利益(最終的に残る利益) | 4.8億円 | 7.3億円 | +52.9% |
※IFRS基準。1株当たり中間利益は51.20円。通期予想は売上228.9億円(+18.2%)・営業利益24.0億円(+47.1%)・当期利益14.7億円(+64.6%)で、中間期で通期予想の約半分を達成。営業利益率は前年同期の8.8%から11.5%へ改善しました。

注目ポイント①:高成長の中身
利益が大きく伸びた背景には、2つの要因があります。1つ目は、前の期に美容室を運営する会社3社を買収(M&A)したことで店舗数が増え、売上が押し上げられたこと。2つ目は、費用の増え方が売上の伸びよりゆるやかだったことです。販売費や管理にかかる費用(販管費)の伸びは前年同期比+10.6%で、売上の伸び(+16.8%)を下回りました。その分、利益が大きくふくらむ「営業レバレッジ」が効き、営業利益は52.5%増えました。お店を増やしながら、もうけの効率も高まっている形です。
注目ポイント②:通期予想と配当
会社は2026年10月期の通期で、売上228.9億円(前の期より18.2%増)、最終的な利益(当期利益)14.7億円(同64.6%増)を見込んでいます。中間期の時点で、通期予想の利益のおよそ半分をすでに稼いでおり、計画は順調に進んでいます。一方、株主への配当は年間60円で、前の期から据え置きの予想です。いまは配当を増やすより、買収や出店といった成長への投資を優先するフェーズだと考えられます。
【投資候補としての評価(100点満点)】
※ここから先は当ブログの参考評価で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。
当ブログの標準ルール(10項目・100点満点)で、AB&Companyを採点しました。株価やPER・配当利回りなどは2026年6月時点の公開情報を参考にしています。
| 評価項目 | 配点 | 当社スコア |
|---|---|---|
| ① 割安性 | 10 | 8 |
| ② 売上成長 | 10 | 8 |
| ③ 財務健全性 | 15 | 6 |
| ④ 利益率 | 10 | 8 |
| ⑤ 配当・株主還元 | 10 | 8 |
| ⑥ 増配実績・減配耐性 | 5 | 2 |
| ⑦ ROE・ROIC | 10 | 7 |
| ⑧ フリーCF | 10 | 8 |
| ⑨ 景気耐性 | 5 | 3 |
| ⑩ 経済的な堀 | 15 | 7 |
| 合計 | 100 | 65 |

採点のポイント
評価できる点:予想PERは約11.6倍、配当利回りは約5.0%と割安感があり(①)、売上は中間で+16.8%と高成長(②)。営業利益率は11.5%で改善中(④)、配当性向約58%で株主還元の姿勢も明確(⑤)。本業のキャッシュ稼ぐ力(フリーキャッシュフロー)もプラスです(⑧)。
気になる点:自己資本比率30.5%・流動比率は約72%と財務の余裕が小さく、買収にともなう借入・リース負債も増加傾向(③=6/15)。2022年上場で配当の歴史が浅く、増配実績は乏しい(⑥=2/5)。美容室業は参入障壁が低く、強い競争優位(堀)を築きにくい(⑩=7/15)。
総合:65点/ランクC(売却候補を検討する水準。新規の主力には選びにくい)。高い成長力は大きな魅力ですが、財務の健全性・堀の強さ・配当の積み上げにはまだ課題があり、当ブログの基準ではCとなりました。財務の改善と、買収に頼らない自力成長の持続を確認してから、というのが現時点の結論です。
まとめ
AB&Companyの中間期は、M&Aによる店舗増と費用コントロールで売上+16.8%・営業利益+52.5%の高成長を見せました。ただ、投資候補としての評価は当ブログの100点基準で65点・ランクC。成長力は魅力でも、財務の健全性・堀の強さ・配当の積み上げにはまだ課題があり、新規の主力には選びにくい——というのが今回の結論です。次の決算で、財務の改善と、買収に頼らない自力成長の持続を見極めたい一社です。
本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買や投資を勧めるものではありません。記載した評価・スコアは当ブログの主観的な見解であり、その正確性や将来の成果を保証するものではありません。投資の最終判断は、ご自身の責任と判断でお願いいたします。(出典:株式会社AB&Company「2026年10月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」2026年6月12日開示。株価関連の指標は2026年6月時点の公開情報を参考。)

