東京海上ホールディングス(8766)が、2026年8月12日に2027年3月期の第1四半期(4〜6月)決算を発表しました。保険収益(保険契約から得られる売上にあたるもの)は前年同期より12.3%増えて2兆471億円になりました。一方で、会社が本業の実力を示す指標としている修正純利益は、前年をわずかに下回りました。
この会社、何をしてるの?
東京海上ホールディングスは、日本を代表する保険会社グループの持ち株会社(グループ各社をまとめる親会社)です。中心となるのは東京海上日動火災保険で、自動車保険や火災保険など、事故や災害の損害を補償する損害保険を扱っています。あわせて生命保険や、企業向けのコンサルティング・投資顧問・介護といった事業も手がけています。
大きな特徴は海外事業の存在感です。海外では「超過額労働者災害補償保険」や「メディカルストップロス保険」といった、専門性の高い保険を扱う会社を傘下に持っています。前者は働く人のけがや病気への補償のうち、金額の大きい部分だけを引き受ける保険です。後者は、企業が社員の医療費を自前でまかなうときに、想定を超えた分を肩代わりする保険です。どちらも扱える会社が限られる分野で、グループの利益の柱になっています。
業績サマリー
| 項目 | 前年同期 (26/3期1Q) | 今回 (27/3期1Q) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 保険収益 | 1兆8,227億円 | 2兆471億円 | +12.3% |
| 税引前四半期利益 | 3,391億円 | 3,781億円 | +11.5% |
| 四半期利益 | 2,666億円 | 2,868億円 | +7.6% |
| 親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 2,559億円 | 2,643億円 | +3.3% |
| 修正純利益 | 2,710億円 | 2,613億円 | △3.6% |
| 1株当たり四半期利益 | 133.49円 | 138.25円 | +3.6% |
※億円未満は切り捨てて表示しています。

財政状態も見ておきます。資産合計は33兆6,769億円で、前期末より6,743億円増えました。親会社の所有者に帰属する持分(株主のもち分)は8兆1,973億円で、資産に対する比率は24.3%です。これは会社の体力を示す目安になる数字で、前期末の24.1%から少し上がりました。
注目ポイント①:伸びをけん引したのは海外
セグメント(事業のまとまり)別に見ると、海外保険事業の保険収益は1兆2,258億円で、前年同期より1,945億円増えました。国内保険事業は8,327億円で、増加額は233億円です。全体の伸びの大部分を海外が生み出した形になります。
なお今期から、報告セグメントの区分が4つから3つに変わりました。国内損害保険と国内生命保険は「国内保険事業」にまとめられ、その内訳として参考表示される形になっています。
注目ポイント②:修正純利益は小幅な減少
修正純利益は2,613億円で、前年同期より97億円減りました。修正純利益とは、株式の売却益など一時的な損益を取り除いて、保険本業の実力を見るための会社独自の指標です。

内訳を見ると、海外保険事業が1,643億円と138億円増えた一方、国内保険事業は988億円と173億円減りました。国内のうち損害保険が772億円(203億円減)と落ち込み、生命保険は215億円(30億円増)と伸びています。海外の伸びだけでは国内の減少を埋めきれなかった、という構図です。
注目ポイント③:配当予想は据え置き
2027年3月期の年間配当(株主に利益を分ける仕組み)は、中間122円50銭・期末122円50銭の合計245円が予想されています。前期の218円から27円増える見込みで、今回の決算での修正はありませんでした。
また、自己株式(会社が買い戻した自社の株)は前期末の5,548万株から3,400万株に減っています。
今後の見通し
通期(1年間)の予想も据え置かれました。親会社の所有者に帰属する当期利益は8,300億円(前期比56.2%増)、修正純利益は9,500億円(同7.8%増)の計画です。
第1四半期を終えた時点の進捗率は、当期利益で約31.8%、修正純利益で約27.5%となります。保険会社の業績は、台風などの自然災害や為替、金融市場の動きで大きく変わりやすいと考えられます。第2四半期以降の推移を見ていく必要がありそうです。
まとめ
保険収益は2兆円を超え、税引前の利益も前年を上回りました。ただし会社が重視する修正純利益は、国内の落ち込みによって小幅な減少となっています。通期予想も配当予想も据え置きで、まずは計画どおりのスタートといえそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典:東京海上ホールディングス株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年8月12日開示)

