農業機械大手のクボタ(証券コード6326)が、2026年8月4日に2026年12月期の中間決算(1月から6月まで)を発表しました。売上高は1兆6,902億円、営業利益は前の年の同じ時期より64.7%増え、通期の見通しも大きく引き上げられています。決算短信の数字をもとに整理します。
この会社、何をしてるの?
クボタは大阪に本社を置く、機械メーカーです。事業は大きく2つに分かれています。
主力は機械部門で、トラクタや田植機といった農業機械、それを動かすエンジン、そして小型の建設機械(ミニショベルなど)をつくっています。とくに海外での存在感が大きく、北米では住宅の庭仕事や畜産に使う小型トラクタ、建設現場で使う小型の重機で高いシェアを持っています。
もうひとつが水・環境部門です。こちらは水道管に使うダクタイル鉄管(ねばり強くて割れにくい鋳鉄の管)、下水処理のプラント、ポンプなどを手がけています。日本の水道インフラを地下から支えてきた事業です。
中間期の売上高のうち、海外が1兆3,284億円と約8割を占めます。日本の会社でありながら、業績は北米や欧州の景気と為替に大きく左右される構造になっています。
中間期の業績サマリー
| 項目 | 前年同期(2025年12月期中間期) | 当期(2026年12月期中間期) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 14,549.3億円 | 16,902.8億円 | +16.2% |
| 営業利益 | 1,430.3億円 | 2,355.7億円 | +64.7% |
| 税引前利益 | 1,514.5億円 | 2,477.5億円 | +63.6% |
| 親会社帰属の中間利益 | 924.8億円 | 1,736.8億円 | +87.8% |

売上高(商品が売れた総額)は16.2%増でしたが、営業利益(本業で稼いだ利益)は64.7%増と大きく伸びました。株主の取り分になる中間利益にいたっては87.8%増、ほぼ倍近い水準です。
前の年の中間期は売上が7.9%減、営業利益が31.0%減という苦しい内容でしたので、そこからの反転という意味合いも大きい決算でした。
財政状態は、資産合計が6兆3,546億円、親会社所有者帰属持分比率(総資産のうち返さなくてよいお金の割合)は44.0%と、前期末の42.3%から1.7ポイント改善しています。営業活動で得た現金は1,906億円で、前の年より478億円増えました。
注目ポイント1:利益を押し上げた3つの要因
会社が増益の理由としてあげているのは、為替の改善、関税の還付、そして北米を中心とした価格改定と販売増です。
為替については、通期の見通しで1米ドル157円、1ユーロ183円を前提としています。売上の約8割が海外なので、円安が進むと日本円に直したときの金額が大きくふくらみます。
関税の還付というのは、いったん支払った米国の輸入関税が、あとから戻ってきたことを指します。もともと米国関税によるコスト増は減益の要因でしたが、還付がそれを打ち返した形です。ただ、これは毎期くり返し起きるとは限らない性質のものです。
あわせて、インフレによる諸経費の増加という重しもありました。それを上回って利益が伸びた点が、今回の中間期の特徴といえます。
注目ポイント2:部門別の状況
| 部門 | 売上高 | 前年同期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 機械 | 14,969億円 | +18.1% | 2,122億円(+56.4%) |
| 水・環境 | 1,862億円 | +3.7% | 171億円(+3.1%) |
| その他 | 72億円 | △9.7% | 4億円(△36.8%) |
売上の88.6%を占める機械部門が、今回の伸びをほぼ一手に引き受けました。北米では建設機械が公共投資や民間の建設需要を背景に堅調でした。一方でトラクタは、中東情勢の影響による景況感の悪化から住宅向けを中心に弱含み、農業用も農家の収益環境の悪化を受けて減速したと説明されています。数量というより、価格改定と為替が効いた増収増益といえそうです。
水・環境部門は国内が5.1%増と堅調で、原材料の値上がりを値上げで補って小幅な増益を確保しました。
今後の見通し:通期予想を大幅に上方修正
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 31,500億円 | 32,800億円 | +4.1% |
| 営業利益 | 3,000億円 | 4,000億円 | +33.3% |
| 税引前利益 | 3,170億円 | 4,170億円 | +31.5% |
| 親会社帰属の当期利益 | 2,100億円 | 2,890億円 | +37.6% |

売上高の上乗せは1,300億円ですが、営業利益はちょうど1,000億円の上積みです。売上の伸び以上に利益の予想が引き上げられており、円安と関税還付の効きの大きさがうかがえます。前の期(2025年12月期)の実績は売上高3兆188億円・営業利益2,654億円でしたので、今回の予想どおりなら営業利益は50.7%増となります。
配当は中間26円・期末26円の年間52円で、前の期の50円から2円の増配予想が据え置かれました。今回の業績予想の引き上げにあわせた配当予想の修正はありません。中間配当の支払開始は2026年9月1日の予定です。
なお自己株式は前期末の165万株から1,232万株へ増えており、期中に自社株買いが進んだことがわかります。
まとめ
中間期は、円安と米国関税の還付、そして北米での価格改定が重なり、営業利益が6割を超えて伸びました。それを受けて通期の営業利益予想は4,000億円へと1,000億円の上方修正となり、会社としての見通しが大きく前向きに変わった決算です。
ただ、伸びの中身には為替や関税還付といった外部環境の助けが多く含まれています。トラクタ本体の需要はむしろ弱含んでいると説明されており、実際の販売台数がどう動くかは引き続き注意して見ておきたいところです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
出典:株式会社クボタ「2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)」「2026年12月期 第2四半期連結業績予想と実績値との差異および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」いずれも2026年8月4日開示

