私は日本株を中心に、配当を受け取りながら長期保有できる企業への投資を続けています。
その保有銘柄の一つが、室内ドアなどを手掛けるニホンフラッシュ(7820)です。
ニホンフラッシュは財務内容が比較的良く、配当利回りにも魅力があるため、これまで長期保有を続けてきました。しかし、最近の決算や地域別売上を確認していくと、少し考え方を見直した方がよいのではないかと思うようになりました。
特に気になったのが、中国事業の縮小、EPS(1株当たり利益)の低下、将来的な減配リスク、中国以外の海外市場が本当に育つかという点です。
今回は、過去5年程度の売上推移と、今後の海外展開方針まで確認しながら、ニホンフラッシュを今後も投資対象として保有していくべきなのか、自分なりに整理してみます。
目次
- この会社、何をしてるの?
- 過去5年間の日本・中国売上を確認
- 日本事業は比較的安定
- 中国売上は5年間で約45%減少
- 中国依存度は下がったが、単純に喜べない
- 中国不動産市場の影響は避けられない
- ただし、会社も何も手を打っていないわけではない
- ただし、新市場はまだ「期待段階」
- 今後チェックしたいのは3つ
- 配当利回りだけを見てはいけない
- EPS低下が続けば減配リスクは高まる
- 「必ず減配する」とは言えない
- 私が理想とする状態
- 「今この現金を持っていたら買うか?」で考える
- ニホンフラッシュと伊藤忠商事を比較して考える
- 配当は1銘柄ではなくポートフォリオ全体で考える
- ニホンフラッシュの良いところ
- 一方で気になるところ
- 今後の投資判断
- 私は「機会費用」を重視したい
- まとめ
この会社、何をしてるの?
ニホンフラッシュは、マンションなどで使われる室内ドアや収納部材などを製造する企業です。徳島県小松島市に本社を置き、東証プライム市場に上場しています。
国内だけでなく中国にも事業を展開しており、長年、中国事業が売上の大きな割合を占めてきました。中国では6つの子会社と26の営業拠点を持ち、省都を中心とした主要都市に販売網を広げています。
そのためニホンフラッシュを分析するうえでは、日本国内の住宅市場だけを見るのではなく、中国の不動産市場まで含めて考える必要があります。
過去5年間の日本・中国売上を確認
直近5年間の地域別売上を並べると、次のようになります。
| 決算期 | 日本売上 | 中国売上 | 売上合計 | 中国比率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 約84.9億円 | 約246.1億円 | 約330.9億円 | 約74.4% |
| 2023年3月期 | 約95.6億円 | 約177.7億円 | 約273.3億円 | 約65.0% |
| 2024年3月期 | 約102.3億円 | 約156.7億円 | 約259.0億円 | 約60.5% |
| 2025年3月期 | 約95.2億円 | 約144.5億円 | 約239.8億円 | 約60.3% |
| 2026年3月期 | 約99.0億円 | 約135.6億円 | 約234.6億円 | 約57.8% |
数字を並べてみると、かなりはっきりした傾向が見えます。

日本事業は比較的安定
日本売上は約84.9億円から約99.0億円へと、5年間で見ると増えています。年度ごとの上下はありますが、おおむね100億円前後を維持しており、国内事業そのものが大きく崩れているわけではありません。
むしろ2026年3月期は日本の営業利益が14.2億円(前期比40.6%増)と大きく改善しています。問題は中国です。
中国売上は5年間で約45%減少
中国売上は約246.1億円から約135.6億円まで減少しています。金額では約110億円の減少、率にすると約45%減です。
これはかなり大きな減少です。しかも1年だけの一時的な落ち込みではなく、246億円→178億円→157億円→145億円→136億円と、複数年にわたって減少が続いています。
中国依存度は下がったが、単純に喜べない
中国売上比率は約74%から約58%まで下がりました。数字だけを見ると「中国依存から脱却している」とも考えられます。
しかし中身を見ると少し違います。日本事業が急成長して中国比率が下がったというより、中国売上そのものが大きく減少した結果、中国比率が低下しています。
したがって、現時点では「地域分散が進んだ」と単純に評価することはできません。
中国不動産市場の影響は避けられない
ニホンフラッシュの中国事業を考えるうえで避けて通れないのが、中国不動産市場です。同社は中国の大手不動産企業などを顧客として事業を拡大してきました。
しかし、中国では不動産市場の低迷が長期化しています。これはニホンフラッシュ単独の努力だけでは解決できない問題です。企業自身の競争力があったとしても、そもそもの新築住宅需要が弱ければ、売上を伸ばすことは難しくなります。
ただし、会社も何も手を打っていないわけではない
ここは今回調べていて、少し評価を見直した部分です。ニホンフラッシュは中国市場の縮小をそのまま放置しているわけではありません。中国以外の海外市場を育てる動きを進めています。
その一つが中東市場への進出です。会社は2025年8月末にドバイ(アラブ首長国連邦)へ出張所を設け、現地での営業活動を開始しています。現地の建材商社と独占代理店契約を結び、中国子会社で生産した内装システム材・家具・キッチンなどを輸出する形で、新しい市場開拓を始めています。中国から技術者を派遣し、施工指導や販売支援もおこなう計画です。
台湾でも、潤泰(ルンタイ)グループ傘下の潤泰精密材料と独占代理店契約を結び、台北にショールームを開設して受注を開始しています。
会社はドバイを拠点に中東全域へ販売を広げ、さらに米国やアフリカなど中国以外の海外市場も開拓していく方針を示しています。
つまり、「中国依存を減らす」という問題意識は会社側にもあり、すでに動き始めているという点は評価できます。
ただし、新市場はまだ「期待段階」
ここが重要です。ドバイやその他の海外市場への展開は始まっていますが、現時点では中国事業の縮小を埋めるほどの規模には育っていません。
つまり現在は、戦略は動き始めたが、成果はこれからという段階です。投資家としては「海外進出するらしいから大丈夫」ではなく、実際に売上や利益として数字に現れてくるかを確認する必要があります。
今後チェックしたいのは3つ
ニホンフラッシュを今後も保有するのであれば、私は次の3点を重点的に確認したいと思っています。
① 中東事業が本格的に立ち上がるか
モデル案件だけで終わるのではなく、継続受注・大型案件・現地販売網の拡大につながるかを確認したいところです。
② 中国以外の海外売上が増えるか
現在の地域別売上は実質的に日本と中国が中心です。今後、台湾・中東・米国・アフリカなどの売上が増えてくれば、中国依存からの本当の脱却が進んでいると判断できます。
③ EPSが回復するか
配当投資で最も重要なのが、EPS(1株当たり利益)です。配当は最終的には企業が稼いだ利益から支払われます。EPSが下がり続ければ、いくら財務が良くても、配当を永久に維持することはできません。
配当利回りだけを見てはいけない
ニホンフラッシュは株価が下がると、配当利回りが高く見えます。そのため「これだけ利回りが高いなら持っておこう」と思いたくなります。
しかし、高配当株投資で最も怖いのは、高利回りに見えているのは、単に株価が下がっているだけというケースです。さらに業績が悪化して減配されれば、その高利回りも消えてしまいます。
EPS低下が続けば減配リスクは高まる
現在のニホンフラッシュを見ると、私はここをかなり気にしています。仮にEPSが今後も低下していくにもかかわらず、配当だけを維持すれば、配当性向(利益のうち配当に回す割合)はどんどん高くなります。
短期間なら、過去の利益剰余金や手元資金を使って配当を維持することもできます。しかし、それを何年も続けることはできません。
したがって、EPSの低迷が長期化すれば、いずれ減配を検討せざるを得なくなる可能性が高いと私は考えています。
そしてここが、今回いちばん重く受け止めた点です。会社が発表している2027年3月期(今期)の予想を確認すると、売上高210億円(前期比10.5%減)、営業利益14.0億円(同19.8%減)、最終利益9.0億円(同36.4%減)と、会社自身が減益を見込んでいます。
| 決算期 | EPS | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 75.1円 | 36円 | 約48% |
| 2024年3月期 | 56.0円 | 36円 | 約64% |
| 2025年3月期 | -122.7円(赤字) | 36円 | — |
| 2026年3月期 | 62.2円 | 36円 | 約58% |
| 2027年3月期(会社予想) | 39.6円 | 36円 | 約91% |
配当36円は据え置きの予想ですが、予想EPS39.6円に対する配当性向は約91%になります。「EPSが下がれば配当性向が上がる」という心配は、すでに会社予想の中で現実になりつつある、ということです。

「必ず減配する」とは言えない
もちろん、現時点で「必ず減配する」と断定することはできません。今後、中国市場が回復する、中東事業が急拡大する、台湾や米国など新市場が成長する、利益率が改善する、といったことが起これば、EPSが再び回復する可能性もあります。
ですから、問題は会社が危険かどうかではありません。問題は、今後10年間の利益成長をどこまで期待できるかです。
私が理想とする状態
年間配当36円を無理なく維持するのであれば、個人的にはEPS60円程度は欲しいと考えています。EPS60円なら、36円÷60円=配当性向60%となります。この程度であれば、業績変動にもある程度耐えながら配当を維持できます。
しかしEPSが40円前後で36円配当を続けるとなると、配当性向は90%前後となり、かなり余裕がありません。長期保有するなら、配当額そのものより、配当を支えるEPSが回復するかを重視したいと思います。
「今この現金を持っていたら買うか?」で考える
保有株の売却を考えるとき、非常に分かりやすい考え方があります。それが、「この株を現在保有していなかったとして、同じ金額の現金を持っていたら、今この株を買うだろうか?」という考え方です。
含み損があると、「ここまで下がったから売りたくない」「せめて買値まで戻ってほしい」と考えてしまいます。しかし、過去にいくらで買ったかは、これから企業が成長するかどうかとは関係ありません。重要なのは、これから先、その資金をどこに置いておくのが一番良いのかです。
ニホンフラッシュと伊藤忠商事を比較して考える
現在、私はニホンフラッシュから伊藤忠商事への組み替えも検討しています。伊藤忠商事は現在の配当利回りだけを見ると、ニホンフラッシュより低くなります。そのため短期的には年間配当金が減る可能性があります。
しかし、利益成長・キャッシュフロー・資本効率・増配力・自社株買い・事業分散・競争優位性などを総合すると、私は伊藤忠商事をかなり高く評価しています。
つまり、現在の高い配当利回りを取るか、将来の利益成長と増配を取るかという判断になります。
配当は1銘柄ではなくポートフォリオ全体で考える
ここでもう一つ大切だと思うのが、すべての銘柄を高配当にする必要はないということです。
例えば、高配当株・安定配当株・増配株・高収益な優良企業を組み合わせ、ポートフォリオ全体として必要な配当収入を確保できればよいと考えています。現在利回りが低くても、利益成長と増配が続けば、将来の取得利回りは高くなります。
反対に、現在5%の高配当でも、その後半分に減配されれば意味がありません。だから最近は、「今何%もらえるか」より「10年後にどれだけ配当を生み出せる会社なのか」を重視するようになりました。
ニホンフラッシュの良いところ
今回調べ直して、改めて評価できる部分もあります。
- 財務基盤は比較的強い(自己資本比率75.1%)
- 日本事業は大きく崩れていない(2026年3月期の日本営業利益は40.6%増)
- 中国事業も赤字から黒字へ戻している(営業損益 -2.35億円 → +3.27億円)
- 中国以外の海外市場開拓に動いている
- 中東・台湾・米国・アフリカという次の市場を検討している
そのため、「何も手を打っていない衰退企業」という評価は適切ではないと思います。
一方で気になるところ
それでも、長期投資家として気になる点は残ります。
- 中国売上が5年間で約45%減少
- 連結売上も縮小傾向(330.9億円 → 234.6億円)
- 中国不動産市場の先行きが不透明
- 新市場はまだ業績への寄与が小さい
- EPSの回復が見えていない(今期会社予想は39.6円)
- EPS低下が続けば減配リスクが高まる
現在は、財務は良いが、成長ストーリーの再構築途中と見るのが一番近いように感じます。
今後の投資判断
今回いろいろ調べたことで、ニホンフラッシュに対する私の考え方はかなり整理できました。結論として、今から積極的に買い増したい銘柄ではありません。一方で、中国以外の新市場開拓が成功する可能性は残っています。
そのため選択肢としては、次の3つになると思います。
① 全株保有を続ける
新市場の成長を信じて待つ。
② 一部だけ残す
例えば100株程度を残し、新市場開拓の成果を1〜2年確認する。
③ 全売却して優良株へ組み替える
より成長性・競争優位性・増配力の高い企業へ資金を移す。
私は「機会費用」を重視したい
ニホンフラッシュは財務面ではまだ十分評価できる会社です。だから、「危ないから売る」という判断ではありません。
私が悩んでいるのは、同じ資金を10年間置いておくなら、もっと期待値の高い企業があるのではないかという点です。例えば伊藤忠商事です。
短期的な配当利回りではニホンフラッシュの方が高くても、10年間のEPS成長・増配・自社株買い・企業価値向上まで考えた場合、伊藤忠商事の方に魅力を感じています。
まとめ
今回ニホンフラッシュについて調べて分かったのは、中国事業の縮小という問題を会社自身も認識し、中国以外の市場開拓に動き始めているということです。これはポジティブな材料です。
一方、中国売上は5年間で約45%減少しており、新しい海外市場はまだ中国事業を補える規模には育っていません。さらに今期の会社予想はEPS39.6円と、配当36円に対して配当性向が約91%まで上がる見込みです。この状態が続けば、現在の配当を長期間維持するのは難しくなる可能性があります。
したがって今後は、「中国以外の海外事業が成長するか」と同時に、「EPSが回復するか」を最重要ポイントとして確認していきたいと思います。
ニホンフラッシュは現時点で危険な会社だとは考えていません。ただし、安心して永久保有できる状態でもないというのが現在の私の評価です。
最終的には、「今この資金が現金だったとして、ニホンフラッシュと他の優良企業のどちらを買いたいか」という視点で判断したいと思います。長期投資では、含み損を取り戻すことより、これから先の10年間で最も期待できる企業に資金を置くことの方が大切なのかもしれません。
※この記事は私自身の投資状況や考え方を整理したもので、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
※記事内の数値は、ニホンフラッシュの有価証券報告書のセグメント情報および決算短信をもとにしています(2026年3月期まで実績、2027年3月期は会社予想。株価指標は2026年8月12日時点)。
