住宅業界で国内最大手の積水ハウスが、2027年1月期の第1四半期決算(2026年2月~4月)を発表しました。本業のもうけを示す営業利益が大きく伸び、最終的に手元へ残る純利益は前の年の同じ時期より75%も増えました。何が起きたのか、やさしく整理します。
この会社、何をしてるの?
積水ハウスは、戸建て住宅や賃貸アパートを建てる日本最大手のハウスメーカー(家をつくる会社)です。家を建てるだけでなく、建てたあとの管理やリフォーム、不動産の売買仲介(売り手と買い手をつなぐ仕事)、分譲マンションの開発、さらにアメリカでの住宅事業まで、住まいに関わる幅広い分野を手がけています。合言葉は「わが家を世界一幸せな場所にする」。国内では住まいに関するサービスをまとめて提供する“積水ハウス経済圏”づくりを、海外では将来の成長に向けた土台づくりを進めています。ただ家を建てる会社ではなく、住まいに関するあらゆるサービスを束ねた総合住宅グループ、とイメージすると分かりやすいです。
業績サマリー(前年同期と今期の比較)
| 項目 | 前年同期 | 今期(1Q) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,940億円 | 9,088億円 | +1.7% |
| 営業利益(本業のもうけ) | 602億円 | 761億円 | +26.2% |
| 経常利益(本業+財務のもうけ) | 468億円 | 724億円 | +54.9% |
| 純利益(最終的に残る利益) | 333億円 | 584億円 | +75.2% |
※決算短信の金額(百万円)を億円に換算し、四捨五入しています。

注目ポイント①:マンションと開発が利益を押し上げた
利益が大きく伸びた一番の理由は、分譲マンション事業と都市再開発事業(古くなった街を新しくつくり直す事業)が好調だったことです。マンション事業の営業利益は、前の年の約25億円から約158億円へと6倍以上に増えました。買った人へ部屋を引き渡すタイミングが今期に集中したことが大きく効いています。都市再開発事業も営業利益が約2.3倍に伸び、仲介・不動産事業も36%増えました。国内の開発系の事業がそろって好調だったことが、今回の大幅増益につながりました。
注目ポイント②:アメリカの住宅事業は赤字に転落
良い話ばかりではありません。海外を担う国際事業は、営業損益が前の年の48億円の黒字から、42億円の赤字へと一転しました。アメリカでは住宅ローンの金利が高いままで、家を買おうとする人が様子見になっているためです。売上高も前の年より14%減りました。会社全体では好調でも、海外には逆風が吹いていることが分かります。

注目ポイント③:配当は前の期より増やす予定
株主への配当(会社のもうけを株主に分けるお金)は、今期の年間予想を1株あたり145円と、前の期の144円から1円増やす計画です。利益が伸びるなかで、株主に利益を還元する姿勢は続いています。
注目ポイント④:将来の仕事の量(受注残高)は過去最高水準
これから売上になる仕事の量を示す受注残高(すでに注文を受けて、これから建てる仕事の合計)は、前の期末より9.0%増えて1兆9,660億円になりました。とくに海外の国際事業は受注残高が約4割も増えています。国際事業は今は赤字ですが、これから売上として積み上がる仕事は着実にたまっており、先々への種まきは進んでいると言えます。国内でも建築・土木事業の受注残高が9%増え、将来の仕事はしっかり確保できている状態です。
今後の見通し
会社は1年間(通期)の予想を変えていません。売上高は4兆3,530億円(前の期より3.7%増)と過去最高を見込む一方、純利益は2,180億円(前の期より6.1%減)と、少し減る予想です。第1四半期は好スタートでしたが、会社は通期では慎重な見方を保っています。なお、会社の体力を示す自己資本比率(総資産のうち、返さなくてよい自分のお金の割合)は43.6%と前の期末の42.7%から高くなり、財務は安定しています。海外事業の立て直しや、国内の金利・建設コストの上昇への対応が、これからのカギになりそうです。
まとめ
積水ハウスの第1四半期は、国内のマンション・開発事業が利益を大きく押し上げ、純利益75%増という好スタートになりました。ただ、アメリカ事業の赤字転落や通期での減益予想もあり、これからは海外の建て直しが焦点になりそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。(出典:積水ハウス株式会社「2027年1月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年6月4日開示)

