日清製粉グループ本社(証券コード2002)が、2027年3月期の第1四半期(2026年4月〜6月)の決算を発表しました。売上高は前年より増えた一方、利益は3段階そろって減少しています。中身をやさしく見ていきます。
この会社、何をしてるの?
日清製粉グループ本社は、小麦粉づくりで国内最大手の会社です。パンやうどん、お菓子の原料になる小麦粉をつくる「製粉事業」を中心に、家庭でおなじみの日清製粉ウェルナ(マ・マーのパスタ、青の洞窟など)の食品事業、コンビニ向けのお弁当や調理麺をつくる中食・惣菜事業、パン酵母(イースト)や診断薬の原料をつくる酵母・健康・バイオ事業などを持っています。北米や豪州でも製粉工場を運営しており、海外にも広がったグループです。
業績サマリー
| 項目 | 前年同期 | 今回 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,153.64億円 | 2,176.81億円 | +1.1% |
| 営業利益 | 112.96億円 | 111.97億円 | -0.9% |
| 経常利益 | 129.32億円 | 125.17億円 | -3.2% |
| 純利益 | 116.20億円 | 93.49億円 | -19.5% |

純利益が19.5%も減ったのはなぜ?
売上高(商品を売って得たお金の合計)は増えましたが、営業利益(本業で稼いだ利益)はわずかに減りました。さらに大きいのが純利益(最終的に会社に残る利益)の19.5%減です。会社の説明によると、これは政策保有株式(取引先との関係を保つために持っている株)を予定どおり減らしたものの、その売却益が前年を下回ったことなどが理由です。つまり本業が急に悪化したわけではなく、前年にあった「株を売って得た利益」という一時的な上乗せが小さくなった影響が大きい、ということになります。
事業ごとの明暗
事業は4つに分かれており、今回ははっきりと明暗が分かれました。
| 事業 | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 製粉 | 1,120.08億円 | +7.0% | 71.28億円 | +6.8% |
| 食品 | 546.88億円 | -0.1% | 22.85億円 | +23.5% |
| 中食・惣菜 | 393.88億円 | -3.4% | 9.56億円 | -32.7% |
| その他 | 115.95億円 | -23.7% | 9.55億円 | -34.1% |

主力の製粉事業は、米国での生産体制強化による出荷増と円安による為替換算の効果で、売上・利益ともに7%前後の伸びとなりました。国内でも4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で2.5%引き上げられたことなどを受け、6月に業務用小麦粉の価格改定を実施しています。食品事業は売上こそ横ばいでしたが、パン酵母や診断薬原料の出荷増で利益は23.5%伸びました。
一方、中食・惣菜事業は天候不順で調理麺の販売が振るわず、コスト上昇も重なって営業利益が3割超の減益となりました。その他事業も、前年にプラントエンジニアリングの大型工事があった反動で大きく落ち込んでいます。
今後の見通しと配当
通期(2027年3月期の1年間)の会社予想は、5月14日に公表した数字から変更ありません。売上高8,700億円(前期比+0.6%)、営業利益460億円(同-1.5%)、経常利益490億円(同-4.7%)、純利益410億円(同+25.8%)を見込みます。1年の4分の1が過ぎた時点で営業利益は予想の約24%まで進んでおり、会社は「当社想定に沿って進捗している」としています。
配当(株主に利益を分け合うお金)は、中間32円・期末33円の年間65円を予定。前期の60円から5円の増配です。連結の配当性向(利益のうち配当に回す割合)は44.3%、一時的な要因を除くと54.1%の見込みで、会社が掲げる「50%目安」という方針に沿った水準になります。自己資本比率(会社の安定度を示す割合)は61.4%と高く、財務は健全です。
まとめ
日清製粉グループの1Qは、主力の製粉が海外を中心に伸びた一方、中食・惣菜とエンジニアリングが足を引っ張り、営業利益はほぼ横ばいでした。純利益の大幅減は株式売却益の反動によるもので、本業の実力とは分けて見る必要があります。通期予想と5円増配の計画は据え置かれ、想定どおりのスタートといえそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。(出典:株式会社日清製粉グループ本社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年7月30日開示)

